ぶっくぶくの部屋

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恥をしのんで一席…
もう成人した親戚の子が小学校低学年の時分、ある席で、
「『てづかおさむし』ってどんなむし?」ときた。
みんな一拍おいて大爆笑。
ツボにはまって笑いが止まらないオレに老母が、
「この子のことそんなに笑えないんじゃない、アンタ」
「へっ?なんで?」
「『だいぶつじろう』って読んでお父さんにこっぴどく叱られ、
しょげかえってたのはどこのどなたさんだっけ?」
まわりの一同、またもや一拍おいて、今度はオレの方を見て
さっき以上の大爆笑。
穴があったら入りたいとはまさにこんな時。
あれから十数年経った平成24年4月(つまりつい最近)、よもやの
悪夢がまたもや襲った。
ある会議の後の懇親会で、オレの隣の方が、
「オマエ、さっき『せつめ』って言ったろ。ありゃ『ふしめ』って
読むんじゃないのかい」
ぐえ〜〜〜〜〜!!
いい歳してチョー恥ずかしい〜〜〜!!
これじゃあ、『みぞおゆう』とか『にちじょうちゃはんじ』を
笑えないじゃん。
二次会もそこそこに家に帰って、姿勢を正して机に向かい、
『国語辞典』を3時間も読みましたとさ。
教訓=「過ちを改むることに憚ることなかれ」

File No.308
『父・手塚治虫の素顔』手塚 眞(新潮文庫 630円)
オススメ度★★☆☆☆

その「手塚治虫」の長男が、天才と呼ばれた父の素顔を回想した本。
オレたち昭和30年代生まれの世代は、程度の差はあれ手塚作品の
影響を受けて育ったと言っても過言ではないだろう。
『鉄腕アトム』を筆頭に、『ジャングル大帝』『リボンの騎士』など
など、懐かしさいっぱいだ。
オレは中でもアニメ放映された『ジャングル大帝』の印象が強い。
動物たちが人間の言葉を喋ることも、ライオンが白いことにも、
なんら違和感を覚えなかった。
おそらくはアフリカであろう草原を、動物の群れが走り行くシーン
は子供の心をふるわせた。
そういう作品を手塚治虫はどのように生みだして行ったのか、
この本を読むとその膨大な仕事に苦闘する姿がよくわかる。
まさに超人的な仕事ぶりだったようだ。
それは命をも削ることとなり、60歳という若さで生涯を終えて
しまうのである。惜しまれる稀代の才能でもあった。

そう言えば、代表作『火の鳥』にもはまったなあ。
ある食堂に全巻置いてあって、それを読みたいばかりに
ほぼ毎日のように通い詰め、アジフライ定食かコロッケ定食を
食べながら読みふけった思い出がある。
『火の鳥』を読み終えたら今度は『ブラックジャック』にとりかかった。
お陰で、アジフライとコロッケを合計100食は食べたんじゃ
ないかと思う。

だけど、オレはあくまでも作品に対して興味関心があるわけで、
作家論は二の次。
どんな作品であるかがすべてで、どんな人かは、はっきり言って二の次。
(まるっきり興味がないワケではないけど)
この本は確かに面白い。
しかし、ひとつ難を言うと、父親を余りにも称揚し過ぎている。
父は父、息子は息子、と何回も書いてはいるものの、父への非難や
懐疑的、反抗的な内容は少しもない。
オレとしては、かえってそれが白けてしまう。
父と息子は、アンチテーゼというか、ベタベタしない距離感というか、
愛憎感というか、よくわからないが、母娘の間柄とはまた違った
緊張感があるような気がするのだが…。

2012.04.08:ycci:count(1,486):[メモ/コンテンツ]
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