ぶっくぶくの部屋

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ある大学の先生の話を聞いてて、つくづく思うことがあった。
ひとつは、この世の中はわからないことだらけだ、ということ。
だから、われわれ人間はもっと謙虚になって、わからないという
ことを知り、ひとつひとつブレイクスルーしながらわかるための
努力をし続けていかなければならない。
ふたつめは、学問は世の中と関わりながら役に立つものでなければ
ならない、ということ。
そんなこと当たり前じゃん、と思われるかも知れないが…。
そしてみっつめが、ロジック(論理)と伝えることの大切さ。
誰にでもわかるように伝えるというのは、簡単なようで
難しい。
件の先生の話も専門的な内容なのだが、わかりやすかった。
わかりやすい話は眠気もさめる。
そうか、学校の授業中寝てばっかいたのは、何もオレだけの
せいじゃなかったんだ、ってある人に言ったら、
「いいや、それは君の自覚のなさに尽きる!」
ぎゃふ〜ん

File No.302
『我関わる、ゆえに我あり−地球システム論と文明−』
松井孝典(集英社新書 740円)
オススメ度★★★☆☆

松井孝典とは、わが国を代表する地球惑星物理学者。
彼が一躍世間に名を知られることになった三冊の著作を
20年ぐらい前に貪るように読んだ憶えがある。
その三部作とは、
『地球・宇宙・そして人間』
『地球・46億年の孤独』
『150億年の手紙』
である。
この三冊はオレの五つ★級の本で、今も本棚の一等地を
他に譲っていない。
いずれ再読したいとも思っている。

その後も何冊かの著作を読んだが、今回は久々の新刊
ということで、本屋に並んだその日に買って読みだした。
以前の著作は、地球誕生や宇宙創成のナゾに挑む気鋭の
学者のほとばしるような情熱を感じ、ワクワクしたもの
だが、60歳をとうに過ぎてしまった彼が今回書いたのは、
どちらかというと哲学的な内容である。
「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこに
行くのか」
というゴーギャンの画題をこの本の命題になぞらえている。
これだけ世の中が変化し続けていくと、「我々はどこまで
行ってしまうのか?」とそら怖ろしくなってしまう。
同じようなことは、産業革命で我々「人間圏」が内部駆動力
を持った時もあった。
つまり、自然とほぼ完全に沿って生きていた時代から、
石炭や石油など化石燃料を駆使して自然に抗し、時間距離を
大幅に短縮した。
今の情報化の進展も、われわれ人間の能力をはるかに超える
ツールと化してしまっている。
こうした「進歩」と言われていることは、人間を本当に
幸福にしているのだろうか、人間をとりまく森羅万象を
本当にわかっているのだろうか、ということも考えさせられる。

松井孝典がこの本を書いた動機のひとつが東日本大震災だそうだ。
今回の地震はプレートの歪みによるものだということが広く
知られたが、このプレートテクトニクスという考え方で
地震のメカニズムを説明できたのは、わずかに50年ぐらい
前のことだそうだ。
また、東日本大震災はマグニチュード9、遡上高40メートル
を超える津波がわが国を襲ったが、今から6650万年前の
直径10kmを超える小惑星が地球に衝突した時の衝撃は、
マグニチュード10をはるかに超え、津波の高さは300メートル
にもなっただろうと。
そして、それが地球システムの大きな擾乱となり、恐竜をはじめ
多くの生物種の死滅を招いたことは広く知られている。

つまり、地球システムや宇宙のことについて、われわれはまだ
多くのことをわかってはいないのである。
だからと言って怖れおののくばかりでなく、謙虚に、そして
ひたすら前向きに生きていくしかない、ということを
この本は教えてくれる。

ところで、宇宙は膨張し続けていて、それが加速してるらしい。
さらに、この宇宙には無数の宇宙があり、われわれがいるこの宇宙は、
そのうちのひとつの宇宙に過ぎないという解釈というか考え方が
あるんだって。
もうこうなると、オレのボンクラ頭では想像すら及ばない世界に
なってしまうよなあ〜。

2012.03.04:ycci:count(937):[メモ/コンテンツ]
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