ぶっくぶくの部屋

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天気薄曇りなれど寒い元旦になった。
まずまずの初日。
元旦参りはいつものコース。
まずは氏神様の愛宕神社へ。そして菩提寺。
次にオレの干支の守り神とされる八幡様。
ここ20年来変わらぬ参拝行事で、これからも
変わることはないだろう。
神殿に向かい、心をまっさらにして二礼二拍手一礼。
「今年こそは安寧を。そして幸せでありますように」

File No.291
『聯合艦隊司令長官 山本五十六』半藤一利(文芸春秋 1400円)
オススメ度★★★★☆

同名の映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六」を観てきた。
さぞ混むものと思い前日に指定席券を購入したのだが、
劇場に入って観客の少なさに拍子抜け。
「坂の上の雲」と同様に、こういう硬派の映画って今どき
あまりウケないのかなあ。
映画の内容はなかなか良かった。
とくに、黒島参謀が、
「長官をこのまま日本にかえすわけにはいかんじゃないですかっ!」
と激情したシーンには泣けた。
そうそう、オレたちサムライの血を引く日本男児は、親分として
戴く男に恥をかかせてはいかんのだ。
まあ、あとは観てのお楽しみ。

映画の帰り、さっそくこの原作本を買ってきて一気に読んだ。
読みかけの本をほっぽって。
映画も面白いが、この本も面白い。
山本五十六と言えば、阿川弘之の著作が有名で、オレもだいぶ
以前に読んだことがある。
『山本五十六』『米内光政』『井上成美』が阿川の海軍三部作
であるが、いずれも重厚で正統派、読み応えのある著作である。
それらと比べると、この本は歴史夜話風の語り口調になっていて、
あまり戦史に詳しくない人でも平易に読める。

山本は最後まで対米戦回避の努力をした。
テロの危険に晒されながらも、粘り強く説得したが、すべて
水の泡と帰してしまった。
そして、一番戦争を望んでなかった山本が、皮肉にも開戦の
先陣を切る聯合艦隊司令長官として指揮をふるうことになる。
開戦ぎりぎりまで和平交渉をしていたことから、
それが成立したら、出撃後でも引き返せ、と命ずる。
しかし、一度出撃したらそれは不可能と反発する部下に向かって、
「百年兵を養うはなんのためだと思っているか!
ただ国家の平和を護らんがためである。
もしこの命令を受けて帰ってこられぬと思う指揮官があるならば、
ただ今より出動を禁止する。即刻辞表を出せ!」
と激高しながら一喝する。
本でも映画でも、見どころのひとつである。

ただ残念なるかな、わが郷土出身の南雲忠一はあまり良くは
描かれていない。
映画では、ミッドウェー海戦の敗戦の責を一身に浴びているが、
本を読めば、それだけではないことがわかる。
史実はそうかも知れないが、当時の日本の異常なまでの好戦風潮や
戦場での殺気立った雰囲気を、わが身に重ね合わせてみなければ、
軽々なことは言えない。

「歴史に学ぶ」なんて面映ゆくてあまり言いたくはないが、
この映画と本は、多くのことを現代に生きる我々に教えてくれる。

2012.01.01:ycci:count(1,017):[メモ/コンテンツ]
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