ぶっくぶくの部屋
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追悼 北杜夫
数日前の休日、今シーズンほぼ最後の輪行ということで
ほぼオールメンバーが揃った。
朝方まで時雨模様だったが、徐々に回復していきそうなので決行。
雨には降られなかったものの路面が濡れててドロハネがひどい。
しかも、少々滑り気味で危ない。
予定のコースを若干短縮して無事終了と思いきや、痛恨の落車!
後輪が消雪パイプの上で滑っちまった。
足がペダルに固定されているので、自転車ごともんどりうって
ガシャーン!一瞬の惨事。
近くにいたオバさんが「だ、だいじょうぶっ!?」って大声で
駆け寄って下さったもんだから、周りにいた方々も集まって
きて、口々に「おいっ、ケガしてないか?」てなもんで、
ちょっとした騒ぎになってしまった。
車の人もわざわざ停まってこっちを見てるし…。
中には知った顔もチラホラ。
向こうはまさかオレとはわからなかったようだが、
恥ずかしくて痛さもどこへやら。
必死で平然を装い、その場をそそくさと去ったのだが…、
あとになって手・腕・肩が痛くなってきた。
よく見ると自転車もキズや変形が。
ちょっとショックだなあ〜。
笑うヤツもいるけど、ロードバイクの走行中の落車って、ホントに怖い。
雨天輪行厳禁・油断大敵・交通安全。
File No.271
『マンボウ家族航海記』北 杜夫(実業之日本社文庫 600円)
オススメ度★★★☆☆
先日、作家・北杜夫が亡くなった。
ご存じ「第三の新人」と呼ばれる世代の作家であるが、吉行淳之介や
遠藤周作らに続くように鬼籍に入ってしまった。
北杜夫の代表作は何と言っても『楡家の人々』であろう。
実父・斎藤茂吉を中心にした青山脳病院をめぐる大河小説である。
一言で言うと、厳かな時代の流れを感じさせる重厚な物語。
これを読んだ人は、この作家はこれからどれだけの物語を
紡いでいくんだろうと期待したことだろう。
しかし、残念ながら、これを凌ぐ物語はついに生まれなかった。
それは極度の躁鬱病によるところが大きい。
様々な著作で氏自身が語っていることでもある。
この本にも、そのことが多く書かれている。
「株」へののめり込みも滑稽を通り越して、何だか物悲しくなってくる。
はっきり言って「駄文」の部類に入る代物。
なんでこんなことまで書くのか。
ユーモアやウイットのキレもない。
おそらくは、氏の生前最後の上梓だろうに。
でも、初期の『どくとるマンボウ航海記』はすごく面白くて、
オレには珍しく2、3回も読んだ。
今ももう一度読んでみたいと思うくらい。
その少し後に出された『―青春記』には、どれだけ精神的に
救われたか知れない。これも2、3回読んだ。
人生は試験の成績などで決まるほど単純ではない、ということを
溢れんばかりのユーモアと、垣間見せる哀しみを織り交ぜながら
教えてくれた。
だから、オレにとって北杜夫は好きな作家なのである。
氏がどんな人間であれ、晩年に駄作を連ねたとしても。
オレと同世代ぐらいの人たちって、そういう人少なくないんじゃないかな。
作品としては★ひとつだが、氏の追悼で★三つ。
因みに、上に紹介した三作は文句なし四つ★から五つ★!太鼓判!
2011.11.05:
ycci
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