ぶっくぶくの部屋

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この土日はそれぞれいい話を聴いた。
土曜日は、3月の大震災・大津波発生以来、ずっと被災地に
あって被災弱者の救援・支援・地域復興に身体を張ってきた
方の話。
リアルな悲惨・悲哀がいっぱいだけど、人々の力強い営み、
東北人の忍耐強さ、胸が熱くなるようなエピソードの数々で
みんな時の経つのを忘れてしまった…。
当たり前だけど、「現実・真実は現場にあり!」なんだなあ。
日曜日は、北寺町・東源寺の五百羅漢供養。
この羅漢堂の中の中央に「破杓」という扁額がある。
確か、「ハシャク」と読む。
ご住職様からこの「破杓」についての法話があった。
「破杓」とは、柄杓(ヒシャク)の底が破れて抜けていること。
人は日々の生活を送っているうちに、いろいろな心配事や心に
ひっかかること、ストレス、消えない過去などを知らず知らず
澱のように柄杓に溜めている。これをたまには柄杓の底を
抜いてスッキリと落としてしまえ、という教えが込められて
いるそうだ。
久々に『大言海』や『国語大辞典』を引っ張り出してきて
調べてみたが、いずれにも出ていない。
今日聴かなきゃ一生知らないままだったかも知れない。
やはり、人の話は心を砂地のようにして聴いてみるもんだ。

File No.263
『原発のウソ』小出 裕章(扶桑社新書 740円)
オススメ度★★★☆☆

少し前の雑誌の書評欄にこの本が載っていたので、なにかの
ついでに買ってみた。
いやはや、これは少し深刻なことが書いているなあ。
今までよくわからなかったことも、この本で少しわかってきた。
まず、なぜある線量以上の放射線に被曝すると致命傷になって
しまうのか。
これを、10数年前に東海村・核燃料加工工場(JCO)で
起きた臨界事故を例にとって説明している。
亡くなったお二人の被曝量は18シーベルトと10シーベルト。
4シーベルトが半致死量で、8シーベルトになるとほぼ絶望的。
最初の見た目はヤケドのようだったが、それがだんだん酷くなって…。
つまり、放射線に被曝すると細胞の再生機能がやられるのだそうだ。
それは皮膚だけでなく、肉も骨も内臓も。
筆舌に尽くしがたい断末魔の苦しみだったと言う。

また、放射線被曝を受けた場合の年齢別危険性では、やはり
10歳以下の子供が高いようだ。これが、15歳ぐらいになると
半分ぐらいになり、50歳を過ぎると劇的に低下する。
少しでも汚染された食品を市場から徹底的に駆逐してしまうと
食糧難や農業の壊滅を招くことになる。
だけど、放射線レベルが低いから安全ということでもないらしい。
そこで著者が提案しているのは、
「大人や高齢者が汚染された食品を積極的に引き受ける」
ことによって子供たちを守らなければならないと。
少し大胆な提案ではあるが、中高齢者はそのぐらいの気持ちで
この難局にあたっていかなければならないということだろう。

さらに、原発の海洋への影響も指摘している。
日本の国土に1年間に降る雨の量は約6500億トン。
そのうち川を流れる量は約4000億トン。
原発からは平均7度も水温が高い水が海に放流されていて、
その量なんと約1000億トン。
ここを読んでいて驚いてしまった。

高速増殖炉「もんじゅ」で福島原発のような事故が起きたら
まさに「破局」という話も身ぶるいしてしまう恐ろしさだ。

この本の著者は、原発や放射能の危険性ばかりを強調して
不安をあおっているのか?
いいや、最後にこう締めくくっている。
「もし、安全な地球環境を子どもや孫に引き渡したいのであれば、
その道はただ一つ。『知足』しかありません。…世界全体が持続的に
平和に暮らす道がそれしかないとすれば、私たちが人類としての
新たな叡智を手に入れる以外にありません」
徒に怖れすぎたり、よくわかりもしないのに不安を煽ったりすることは
厳に慎みたいものだが、
足るを知ること。
これは、オレにとっても肝に銘ずべき課題だ。
2011.10.02:ycci:count(675):[メモ/コンテンツ]
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