ぶっくぶくの部屋

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日本人は花火好きなんだねえ。
オレの知人にも、毎年のように大曲に行ったり、
長岡行ったり、土浦行ったりしている人がいる。
オレも大曲行ったことがあるけど、「スゴイ!」の一語。
まあ、人の混雑もスゴくて、いやはや…。
長岡にも行こうとしたことがあったんだけど、早いうちから
インター出口からすでに混んでて…、Uターンして帰ってきた。
全国級の花火もいいけど、オレはやっぱローカルなのがいいね。
で、今夏、某ローカルの海上花火を観る機会があった。
海面に映る花火、海面から半円形に広がる花火、そして海の解放感、
すべて良かったなあ。
ちょうど25年前観た松島の花火、15年前に観た鹿児島・指宿あたりの
花火、10年前にキャンプしながら観た白川ダムの花火…、いずれも
良かったなあ。
花火は「刹那」がいいんだね。
良い想い出も消えそうになっていくから愛おしいのかも知れないなあ。

File No.250
『下町ロケット』池井戸 潤(小学館 1700円)
オススメ度★★★★★

ぶっくぶく250回記念と、池井戸潤の直木賞受賞のお祝いを兼ねて、
久々の五つ★!
前からずっと読みたかったんだけど、本屋にはないし、図書館では
貸し出し中だし、文庫本はないしで、かなわなかった。
それが、なんと同僚の某君が貸してくれたのよ。
あたかもオレが読みたがってるのを知ってたかのように。
やっぱ、持つべきものは良き同僚だねえ。
読みたいなあと思ってる本を貸していただけることは、オレにとって
メシおごってもらうよりウレシ〜。

で、さっそく読み出した。
ビアガーデンやら暑気払いが続く毎日だったにもかかわらず、
酔いも醒めるほど面白くて、二晩で読み終えてしまった。
もっとゆっくり読むんだったなあ。

これは、下町にある小型エンジンメーカーが、自社の特許技術を
生かしてロケット開発の中枢部分を担っていく物語。
その小型エンジンメーカー・佃製作所は、典型的な中小企業ではあるが、
技術開発や熟練技術は世界でも通用するレベルにあった。
しかし、中小企業の哀しさ、資金繰りが行き詰まったり、大企業から
不当な損害賠償訴訟を起こされて翻弄される。
そうした中、同社のバルブシステムに関する特許が、ロケット開発の
キーデバイスであることから、俄然脚光を浴び始める。
中小企業ゆえ、バカにされ、ナメられながらも、バラバラだった社員の
心がひとつになって、「佃品質・佃プライド」を自ら掲げ、世紀の
プロジェクトに「確かな技術」で参画していく。
その過程は、なかなかの感動である。

人は時々、自分が所属している組織の力=自分の力と勘違いする。
そういう勘違いをすると、傲岸不遜(≒エラそう)になる。
気をつけても、多少そういうそぶりが出てしまう。
組織の大きさ=組織の力=自分の力、ということには必ずしもならない。
ガタイは小さくても、熱き心意気と行動、そして連帯感が大事。
そういうことをこの物語は教えてくれる。
「しょせんキレイごと」と片付けることなかれ。
それぞれの夢に向かうようなキレイごとがなけりゃ、この世は闇。

この物語のもうひとつの良さは、悪を懲らしめないこと。
反対したり妨害したりした奴らは、確かに憎らしいが、物語の中では
左遷したりクビにしたりする場面は一切描かれていない。
例えば、若い社員が上司を上司とも思わぬような言葉遣いで勝手な
理屈・文句をズケズケ言い、そのくせ自分だけに快い距離を置くような
場面が出てくる。
オレだったらそんな奴はどんな仕事をしても認めないし、自分も貴重な
時間を使っている仕事の相手には選ばないだろう。
しかし、佃社長はそんな狭量ではない。反抗したりする奴らにも
人間としての慈愛を注ぐ。
それこそ、そんな人間いるんかい!とは思うけど。
本田宗一郎が部下をよくぶん殴ったという話は有名だけど、
熱い人間は喜怒哀楽も激しいということ。
あえて「キレイごと」があるとすれば、そんなとこかなあ。
池井戸潤の今後の伸び代でもあるような気がする。
(少々エラそうだけど…)

いずれにしても今夏イチおし!

2011.08.13:ycci:count(560):[メモ/コンテンツ]
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