ぶっくぶくの部屋
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暑さ寒さもヤセがまん
今日はみんな口々に「寒い」って言ってたなあ。
確かに、ずっと30度以上の真夏日が続いていて、急に
10度ぐらい下がったんだから無理もない。
でも、実のところ、オレにはちょうどいいのよ。
みんなが「肌寒い」と感じるぐらいがオレにはちょうどいい。
だから、平均的な人が「暑い」と感じる時、オレは「チョー暑い!」。
平均的な人が「チョー暑い」と感じる時、オレは……「サウナ」状態。
だからと言って、みんなが「すげぇさぶっ」と感じる時は、
オレも「すげぇさぶい」のよ。
要するに、高温にはすごく弱く、低温には人並みに弱いという
「ずぐだれ体質」ってこと。
しかしながら―
男たるもの、寒さ暑さをいちいち口にすべきでない、という信条、
いや願望があって…。
暑さ⇔寒さ、うまい⇔まずい、すき⇔きらい、理不尽なこと、
不条理なこと、着るもの、住む家、カミさん、財布の中身、等々
すべからく男はヤセがまんが大事!
File No.246
『心に灯がつく人生の話』(文藝春秋2011年8月特別号 820円)
オススメ度★★★★☆
作家や各界文化人10人の講演録で、「今こそ聞くべき名講演10」
というサブタイトルがついている。
さすがに選りすぐりだけあって、どれも含蓄あり、ユーモアありで
面白い。こんな講演だったら、ぜひ聞きに行きたいもんだ。
最近は講演を生業とする人が多いが、「なるほどなあ〜」とか
「面白いなあ〜」と思うことはあっても、、「心に灯がつく」ような
話を聞けることって、はっきり言ってあまりないよなあ。
トップバッターの城山三郎は、『男子の本懐』のモデルになった
浜口雄幸をとりあげ、政治に死を賭した男を語っている。
松本清張は菊池寛をとりあげ、「小説家は人に好かれるべからず」
と語っている。菊池寛が人に好かれるような風貌でなかったことを
自分自身にも喩えているユーモアがなかなかいい。
山崎朋子の『サンダカン八番娼館』のモデル取材の話にはジーン
ときてしまった。山崎は実在のモデルと三週間も寝食をともにし、
心を通わせながら話を引き出している。
「…その生きる人生の過程において、いつでもかまわないから、人
それぞれのやり方において、自分よりも悲しみを抱いてる人々に対して、
人としてのそれなりの責任を果たせよ…」
こんなメッセージを浴びたら、やっぱ、「心に灯がつく」想いがする。
自身の波乱万丈な人生の吐露という点で圧巻なのは笹沢左保。
実の父親を殺そうとした後ろ暗い過去や、人妻と心中をはかったこと
など、ア然としてしまう。こういう男が、あの『木枯らし紋次郎』を
生んだのかと。
トリはやっぱ司馬遼太郎。
彼の講演録はおそらく20本以上読んでると思うが、どれをとっても
いい。出来うるならば、生前にその肉声を直に聞きたかった。
彼はリアリズムが大事だと一貫して言っている。
事実を捻じ曲げない、脚色しない、誇大化しない、過小化しない、
現実をしっかりと冷静に認識し、未来につなげていくこと、とくに
国家においてはそういうリアリズムがすごく大事だと。
仕事も同じだろう。
でも、個々の人生は、思い入れや勘違い、誇大妄想などがあった方が
悲喜こもごもとして面白くなるのだろうが…。
蛇足ながら―
本誌に収録されている石井妙子の『現代の家系第4回 堤一族を呪縛
する五人の女』もなかなか面白い。前に紹介したオノ・ヨーコの
シリーズ続編。
仕込み(取材)もいい、構成もいい、文章もいい。
きっと彼女の仕事は今後も注目されていくだろう。
2011.07.21:
ycci
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