ぶっくぶくの部屋

ぶっくぶくの部屋
ログイン

暑い日が続くけど、いろんなことが去来するこのごろ。
まずは「なでしこジャパン」。
多くの日本人が朝から狂喜乱舞している。
オレも郊外の紅花畑で朗報を聞いた。
よくやった!あっぱれ!

池井戸潤が直木賞。
これもあっぱれ!
やっぱ見る眼があるねえ〜オレも。ナンチャッテ!

「残り1%に人生の意味がある」
先日、めったに観ないテレビをたまたま観ていたら、祇園祭りの
特集をやっていた。ちょうど山鉾巡行の前夜。
永らく町衆として親方を務めていた人が言った言葉に感動。
「人生の99%は日常生活や社会人としての生活。だけど、
残り1%は、祇園祭りで神と戯れ美意識を高めていく。
ここに人生の本当の意味があるのではないか」
京の町衆にもあっぱれ!

かたやオレ…
早くも夏バテ気味で先週末から夜の戦線も一時離脱中。
自転車も20kmでひいひい。
力強いなでしこに比べこの弱き男の情けなさ。
カ〜ツ!

File No.245
『「悲しき熱帯」の記憶』レヴィ=ストロースから50年
川田順造(中公文庫 800円)
オススメ度★★★☆☆

レヴィ=ストロースっていう名前を聞いたことがある人は多いだろう。
だけど、どんな人?
有名なフランスの社会人類学者さんなのよ。
オレも学生時代に目いっぱい背伸びして代表的著書を読んだ記憶が
あるが、中味は殆ど忘れかけていた。
確か『悲しき南回帰線』という書名だったと思うが。

この本の著者は、生前のレヴィ=ストロースに師事した学者で、
師が約50年前にサンパウロ大学に招聘されて、ブラジルの
先住民の調査を行った足跡をたどっていく。

著者も先住民ナンビクワラについて多くの紙面を割いている。
その習俗観察はなかなか面白い。
例えば、「きまり」のなさ。
ナンビクワラには決まった挨拶がない。食事や洗面、着替えなどの
決まりがない。
人間関係における儀礼性の欠如というのは、人と人とが原初的に
結ばれていて、そこには何ら緊張関係がないということだと
洞察している。
なるほど。
われわれは他人との関係性を良好にしようという気遣いから
挨拶という儀礼を踏むのかも知れない。
かく言うオレもアイサツがないヤツにムッとくることが
しばしばある。逆もある、かも知れない。
また、月や年の観念もないと言う。
だから人の年齢なんて殆どわからない。
あくまで「推定」らしい。
このことをつきつめていくと、「歴史」というものを必要としない
民族とも言えるかもしれない。

ポルトガルによる支配、近代まで続いた奴隷制、無尽蔵の資源と
乱開発、先住民の原初的習俗、政府の近代化政策のジレンマなどなど
をつぶさに観察しながら、著者は
「熱帯は今も悲しい」と言っている。
レヴィ=ストロースの歴史的名著『悲しき熱帯』の足跡を
約半世紀後にその弟子が辿った好著である。
好著ではあるが、内容はあまり一般的ではないので少々低評価。
でも、旅が好きな人や、民族学や人類学に興味のある人に
とっては、この上ない「ごちそう」のような本でもある。



2011.07.18:ycci:count(659):[メモ/コンテンツ]
copyright ycci
powered by samidare
▼コメントはこちら

名前

件名

本文

URL

画像

編集/削除用パスワード
※半角英数字4文字で自由に入力下さい。


手動入力確認イメージ
※イメージ内の文字を小文字の半角英字で入力して下さい。



 ※ 投稿後、すぐに反映されます。
powered by samidare