ぶっくぶくの部屋

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降雪もここ数日小康状態になったようだ。
降雪が続いていた時は、早朝にうなりをあげてくる
ブルトーザーの音にハッと目を覚まし、寝ぼけ眼で
モゾモゾと雪払いの準備をする。
それが、数日なかったというだけで安眠できる、と
思いきや、今朝、ブルの音で目が覚めた。
ん?、雪降ってないから来るハズないのに…。
うへぇっ、幻聴かよ〜!

File No.212
『女たちの戦国』鈴木由紀子(幻冬舎新書 780円)
オススメ度★★★★☆

地元出身・地元在住の作家である鈴木由紀子サンが
1月30日に新刊を出した。
このところの彼女の健筆、地元住民の一人としてたいへん
嬉しく思っている。
ただ、題名がなあ〜。
というのは、つい先日読んだ『江』が、オレには少し読みづらくて
余り印象が良くなかったので、つい億劫になって。
でも、ぶっくぶくとしては、地元作家の著作は外せない、との
半ば義務感のようなもので読み始めたのだが…、あにはからんや、
登場人物の人生がまるで浮かび上がってくるようで興趣が尽きなかった。
かなりの史料を渉猟しているようだが、引用は殆ど現代語訳に
なっていて、オレみたいに古文が苦手な者には読みやすいこと
この上ない。
史料を原文引用する人が多いが、専門書ならいざ知らず、一般読者
が対象の新書ではいかがなものか、と前々から思っていた。
作家ならではの配慮であり、センスのひとつである。
とどのつまり、買ってもらって、読んでもらってなんぼのもの、
ということ。
それが作家と研究者・学者の違いのひとつかも知れない。
著者にとってみれば、
「本筋以外のところで褒められても嬉しくない」だろうが。
じゃあ、本筋のところで…。
著者の意図である、男たちが中心になって引き起こされる
政争・戦争に翻弄されながらも、その情況を甘受しながら、
したたかに、力強く生きる女性の姿、というものが、オレには
存分に伝わってきた。
とくに最終章の、茶々・初・江の三姉妹の人生はまさに波乱万丈
である。父や母を失い、姉と敵対関係になり、子供たちも数奇な
運命をたどることとなる。
その境遇はあまりにも過酷だが、その中を女性たちは力強く生きて
いるということに、改めて感動がこみ上げてくる。
著者自身の思いも迸っている。
「こうした地に足をつけた女性の発想と行動力は、いつの時代も
困難な状況を突破する行動力になると思われる。男のつくる歴史に
おし流されているように見えながら、その底流では、戦争のない
平和な社会をめざして、ともに連携した女たちの歴史があった」
少し胸が熱くなってくるような名文である。
作家の赤々と燃えるパトスが感じられる。
そして、歴史を見つめる熱き眼と、熱き心が、次の壮大な歴史
ドラマを産むよう期待しつつ…。


2011.02.05:ycci:count(1,022):[メモ/コンテンツ]
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