ぶっくぶくの部屋

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身辺の整理・清掃にも疲れて、飽きてきたので、
映画を観て気分転換することにした。
何観ようかなあ、と考えていたら、先日のことを
想い出した。
知人某氏から電話をいただいて、
「ヤマト観てきたけどサイコーだった!」と少し興奮気味。
それじゃあ、ということで「ヤマト」を観ることにした。
さぞや満員と思いきや、休日にもかかわらず観客は
20人足らず…。
観終わったら、ん〜、確かにCGはスゴイし、キャストも
そうそうたる顔ぶれなんだが、50代以上のペアで観るには???
そう言えば、電話をいただいた某氏は熱しやすいタイプ。
こよなく愛すべき人であり、尊敬すべき人なんだけど、
映画評だけは割り引いて受け止めた方がいいかもなあ。

File No.198
『国家の命運』薮中三十二(新潮新書 680円)
オススメ度★★★★☆

この本売れているらしい。
このところ、国家間の確執や思惑などが顕在化するような出来事が
頻発しているせいだろうか。
そして、この著者の顔、北朝鮮による拉致問題がピークの頃、
よくテレビで観たよなあ。
それもそのはず、この著者は元外務省でアジア大洋州局長から
事務次官まで上り詰めた方。
組織を辞めた人が、世間に知られていないような内実や内輪の
醜聞などを吐露する暴露本がいつのころからかジャンルのひとつ
になってしまい、外務省もその対象外ではなくなっている。
しかし、この本は暴露本のような類ではなく、自身が経験した
外交交渉の実例を出しながら、日本はどのような外交政策を
持つべきなのかを率直に書いている。
まさに『国家の命運』というタイトルにふさわしい、元外務事務次官
によるきわめてまっとうな外交論になっている。

たとえば、湾岸戦争終結時の「Thank You広告」の一件。
オレも寡聞にして知らなかったが、クェート政府がイラクの侵攻から
救ってくれたお礼広告をニューヨークタイムズに出したのだが、
お礼先の50余りの国々の中に日本が入ってなかったというのだ。
日本円にして1兆5千億円もの戦費を負担したにもかかわらず
である。
言うまでもなく、それはわれわれ国民の血税からまかなわれたもの。
命をかけない「チェック(小切手)」外交と揶揄される始末で
散々だった。
これは、外交の失敗だったと著者は振り返っている。

もうひとつ興味深い指摘は、産業貿易について。
最近よく「ガラパゴス現象」という言葉を耳にするが、
日本における携帯電話がまさにガラパゴス現象を象徴している。
つまり、国内での普及のみに力を入れる余り、世界標準に
完全に乗り遅れてしまった。
国内にはこれほど携帯電話を作ってる会社があるのに、
世界シェアではソニー・エリクソンが4.5%で何とか5位に
入っているだけ。
これからの日本は、
「システムを世界に売り込まなければ生き残れない。そのために
世界標準をめぐる勝負が生死を分ける」と指摘する。

外交の現場で世界各国と丁々発止してきた著者ならではの国家観や
外交論が展開されている好著である。


2010.12.12:ycci:count(912):[メモ/コンテンツ]
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