ぶっくぶくの部屋
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不覚にも
今週、バスで相馬に行く機会があって。
二つの峠を越えて行く道は、もう幾度も通っている。
車内でおいしい弁当をいただいて、一つ目の峠を越えた
までは何ともなかったのだが、二つ目の峠に入った
あたりから、何だか軽いめまいと嘔吐感に襲われた。
峠の途中でたまらず半強制的に「トイレ休憩」で
バスから降り一目散。
ん?これってもしかしたら「乗り物酔い」っていうヤツ?
生まれてこの方、乗り物酔いした覚えなどあまりないのだが、
この歳になって不覚にも…。
その夜は懇親会もあったのだが、食べ物には何も手を付けられず、
水割りを2、3杯飲んだだけ。
帰りのバスでは、嘔吐の恐怖から遁れるように酒を飲み、
陽気な談笑に興じていたら…、なんともなかった。ヘッ。
要は、気分の問題なのかもなあ。
File No.195
『のぼうの城』上・下 和田 竜(小学館文庫 各457円)
オススメ度★★★★☆
少し前に、ある知人が「すごく面白かった」と言ってしきりに
勧めてくれたのが、この本。
うむ〜、確かに面白かった。さすが「本屋大賞」第2位の本だ。
時は戦国時代、豊臣秀吉の小田原攻めの一環として、石田三成らが
武州の忍城を攻めた。
石田三成を総大将とする秀吉方約2万の大軍に対し、忍城で迎え
討つのはわずかに5百。
守勢側の総大将が、この本の主人公である成田長親、通称「のぼう様」。
なんで、「のぼう様」なのかというと、「でくのぼう」の略称
というから、いかに愚鈍そうな御仁かがわかる。
しかし、この「のぼう様」がただ者ではないところが、この物語の
面白いところなのだ。
勝ち目のない戦を目前にして、主家である北条を見限り、忍城を
開け渡し、秀吉方に降ろうと軍議が決しようとした時、ただの
でくのぼうだと誰もが思ってた長親が敢然と言い放つ。
「武ある者が武なき者を足蹴にし、才ある者が才なき者の鼻面を
いいように引き回す。これが人の世か。ならばわしはいやじゃ。
……それが世の習いと申すなら、このわしは許さん」と。
そして、成田軍はたったの5百人で敵に悲壮に立ち向かう。
下巻になってくると、徐々にこの男の底知れぬ魅力・能力が
現れ始めてくる。
「…名将とは、人に対する度外れた甘さを持ち、それに起因する
巨大な人気を得、それでいながら人智の及ばぬ悪謀を秘めた者の
ことをいうのではなかったか」
と「のぼう様」の真髄に迫ってくる。
やはり、「有能なるも敵には無能を示せ」という兵法の初歩は
古今東西に共通していることらしい。
ストーリーは、あえてこれ以上は書かない。
師走に入り、年末年始何しようかなと考え始めているアナタ、
この本で半日はエンターテインメントの世界に浸れるゾ。
2010.12.01:
ycci
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