ぶっくぶくの部屋

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今日は絶好の輪行日和。
空はスッキリ秋晴れ、寒くなく暑くなく、風もない。
こんな日に自転車乗らないでどうする、と自分自身で
テンションあげて飛び出した。
最初はちょっと肌寒く感じたけど、10分20分と走るうちに
少し汗ばむほどに。
火照った顔・身体が秋風に涼しく吹かれて気持ちイイ〜。
食欲も俄然わいて来て、昼にハンバーグ&エビフライランチ
をペロリ。30分もしないうちにつけ麺をペロリ。
走った距離約60km、消費カロリー約700kcal、摂取カロリー
約900kkal。
食って食って、走って走って……、
ん?、結果的にカロリーはプラスじゃん。
ナニやってんだかオレ。

File No.188
『切羽へ』井上荒野(新潮文庫 400円)
オススメ度★★☆☆☆

まずタイトルが気になった。
ふつう「せっぱ」と読むんじゃないかなと思ったら、
「きりは」という題名。
そして、オビに「直木賞受賞作」とある。
前にも書いたが、○○賞受賞作品というオスミツキにオレは
めっぽう弱い。
井上荒野という作家も初めてだから、女性ということも知らなかった。
物語は、ある島で暮らす養護教諭のセイ(主人公)と、その夫で
画家の陽介を中心に展開する。
セイと陽介は睦まじい夫婦生活を営んでいたのだが、そこに
臨時教員の石和が赴任してくる。
セイは、夫も愛しているが、石和に強く惹かれていく自分に
戸惑い、持て余し、行き場のない心の行方に懊悩する。
人を愛する心の行く先は「切羽」しかないのか。
「トンネルを掘っていくいちばん先を、切羽というとよ。
トンネルが繋がってしまえば、切羽はなくなってしまうとばってん、
掘り続けている間は、いつも、いちばん先が、切羽」
と、セイは最後の方で言う。
そうか。
恋愛でも、仕事でも、何でも、人は「切羽」に立たされる、
いや、否応なく立たねばならぬ時がある。
トンネル掘りが進むと切羽も前へ前へと進む。
トンネルが抜けるとどうなるかなんて、誰も確かなことは
わからない。
(解説の山田詠美も同じようなことを言ってる)
例えば、
恋愛、情愛の切羽に立ち続け、結果的に結ばれたとしても、
その後が幸福かどうかなんてわからない。
仕事だってそうだ。
骨身削って、汗水流して働いて、定年になって、トンネルの
向こうに見えるのは一体何なんだろう。
一生懸命働いて、自分や家族の生活を築き守ってきたという
満足感と誇りが、ほんとうにトンネルの先にあるものなの
だろうか。
人はみんな、そんな疑問を秘めながら、「切羽」に立ち続けて
いるんだなあ、と思う。
セイの母親がトンネルの切羽で拾ってきて、夫の誕生日の
プレゼントにしたマリア像がメタファーのように作品に
奥行きを与えているような気がする。

いずれにしても、この小説は登場人物のキャラ立ちも充分でなく、
クドクドした状況説明もあまりない、というか、ほとんど
意図的にそうしているんだと思う。
だから、こういう「風」に心動く情感や感性がないと、
つまらない、と思うかもしれない。
試しに読んでみたら?

2010.11.07:ycci:count(1,073):[メモ/コンテンツ]
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