ぶっくぶくの部屋
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あさましき者たち
先日、ちょいと用事があってとある観光施設に行った時のこと。
駐車場の身障者用スペースの脇で一服していたら、そこへ
一台の車が入ってきた。
何気に見てると、車から降りてきたのは、どこから見ても
健常者の中年夫婦。
ニラミつけてもどこ吹く風のような顔をしてるんで、
「そこ身障者用スペースですよ」って声かけたら、
今気付いたようなわざとらしい素振りをしながら、
「すぐきますから」とかなんとか言って、小走りに去って
行ってしまった。
高速のSA・PAなどでもよく見かける光景だが、
わずか数10メートルだけなのに、なんたるあさましき者たち!
会津藩の教えにもあるように、
「ならぬものはならぬ」!
File No.172
『人斬り以蔵』司馬遼太郎(新潮文庫 667円)
オススメ度★★★☆☆
大河ドラマ「龍馬伝」がなかなか好調のようだ。
オレは、前にも書いたような理由でほとんど観ていない。
が、先週・先々週と続けて2回観てしまった。
うむ〜、面白いじゃん。
まあ、寺田屋で龍馬が捕縛されそうになるのは、中後半の
ヤマだしなあ。
「龍馬って最後はよう、…」
「シッー!だまって!」
「……」
1週間にこの45分だけ家人が別人になる。
で、岡田以蔵。
この男も「龍馬伝」に出てきたハズだが、その頃は茶の間に
入らせてもらえなかったので、どういう描かれ方をしたのかわからない。
これで、この本を読んでみようと思ったワケ。
いやあ〜、もうすでに幕末の頃にこんな剣客がいたなんて、スゴイ
というか狂気というか。
以蔵は、武市半平太によって足軽からとり立てられるわけだが、
その心と行動が次第に乖離していく様がみごとに描かれていて
面白い。
「剣は、人を殺すものだ。が、徳川期に入って、哲学になった。
以蔵は戦国草創の剣客のように、ひたすら殺人法としての
剣技を自習した。いずれが正道で、いずれが邪道なのか」
というところが、この作品の真髄でもある。
そのほかこの本には、村田蔵六(のちの大村益次郎)を描いた
『鬼謀の人』や、古田織部正に仕えた鎌田刑部左衛門を描いた
『割って、城を』など、司馬遼太郎の短編8作品を収めている。
短編とは言え、いずれもその切り口はシャープで、興趣が
尽きない。
なかでも『おお、大砲』は、徳川300年間後生大事にしてきた
ものの価値というか、真価が滑稽なほど陳腐化してしまったことの
象徴的な話であり、一抹の哀しみを伴うおかしみを醸している。
2010.09.20:
ycci
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