ぶっくぶくの部屋

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五木寛之が、何かの本で、たまには自分の靴をジックリ
磨いてみるのも休日のオツな過ごし方、みたいなことを
書いてたのを思い出した。
今日は今にも雨が降りそうな曇天で輪行もちょいとムリ
だし、そんじゃあって靴磨きをはじめた。
ふだんあまり眼をやったり、手に取ったりすることのない
靴を、愛おしく磨いていると、何だか不思議に心が落ち着いて
くる。
一足に30分かけて、三足で1時間半。
至福とまではいかないが、心が少し豊かになるような時間の
流れに恍惚としていたら、
「その調子で風呂掃除もしてよお」と家人のかさにかかった
ような要求が。
もちろん、いつものごとく無視して自室に引きこもり。
でも、案外風呂掃除も面白いんじゃあないかなあって考えが
カスめたりして…。
ちょっとヘンだなオレ。

File No.171
『ねぼけ人生』水木しげる(ちくま文庫 580円)
オススメ度★★☆☆☆

NHKの朝ドラ「ゲゲゲの女房」がなかなか評判がいいようだ。
オレもたまに観るが、ふむ、悪くない。
主人公当人が書いた原作本みたいなものを少し前に読んだが、
まあ、とりたててスバラシイという内容でもなかったような
気がする。
オレの両親もそうだが、あのぐらいの年代は、多かれ少なかれ、
程度の差はあれど、似たような経験をしてきているのでは
ないだろうか。
同時代性の共感みたいなものが、ヒットの要因のひとつかも
知れない。

で、この本は、今から約20年前に水木しげるが自身の半生を
綴ったものということで、かるく読み始めてみた。
オレは、ゲゲゲの女房が語る半生記より、こっちの方が
面白かった。
眼に見えないものへの畏怖心が芽生えた少年時代や、片腕を
失った軍隊での戦争体験、戦後混乱期の極貧時代などが、
ジメジメとではなく、かと言って軽すぎもしない淡々と
した筆致で綴られている。
ちょっと意外だったのは、ゲゲゲの女房のことは殆ど触れられて
いないということ。
結婚した時のこと、子どもが生まれた時のこと、極貧を凌いで
いた時のこと、ようやくマンガ家として一家を成した頃のこと、
いずれも女房の姿がこの本では見えない。
昔の男なんだなあ、きっと。
家族のことを公に話題にするようなことはせず、あくまでも
自分自身(の仕事)と社会との関わりという基軸でものを
考え、行動するという意識なのかも知れない。
そのことの良し悪しは別として、旧き良き日本男子の一典型
であり、好感が持てる半生記でもある。

蛇足ながら、南伸坊によるカバー装画もほのぼのとして、
なかなかいい。



2010.09.12:ycci:count(890):[メモ/コンテンツ]
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