ぶっくぶくの部屋

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ここ十数年、漫画を読むことが殆どなくなってしまった。
たまにラーメン屋さんでパラパラとながめるぐらいかなあ。
こんなオレでも、かつては漫画狂の時代があった。
まずは何と言っても『巨人の星』。少なくとも10回は読んだ。
(まあ、我が家に漫画はこれしかなかったので…)
そして『火の鳥』と『あしたのジョー』。
ときどき隠れて『ハレンチ学園』も…。
20歳前後からは、ビッグコミックオリジナルが愛読書のひとつに。
たぶん4、5年は毎号欠かさず読んだのではないだろうか。
「弘兼憲史」という漫画家は、オリジナルを読んでいた頃からの
お馴染みだ。

File No.156
『気にするな』弘兼憲史(新潮新書 680円)
オススメ度★★☆☆☆

弘兼憲史と言えば、『課長島耕作』や『人間交差点』などを
代表作とする有名な漫画家。
その著者が、自らの生い立ちや、漫画家への志、自身の漫画哲学、
人生観などを綴ったエッセイ風の読み物になっている。
内容が明解平易で読みやすく、オレも、米沢→東京の新幹線車中で
2時間足らずで一気に読み終えてしまった。
全体を通じてなかなか面白いが、オレとしては、共感・感心できる
部分が8割、懐疑的な部分が2割といったところかな。

まずは、共感できるところから。
何と言っても、最後に著者が書いている「人生、楽しんだ者勝ち」
という突き抜けたような人生観。
くよくよしたって仕方がない、たまには「気にしない」という選択肢
も持ちながら、前向きに楽しんだ方がいい、というのは全く同感。
そして、「人生は自己責任」という考え方。
思うようにいかないと、とかく他人や社会や環境のせいにしたがるが、
良いも悪いも、あくまで自分の選択、自分の言動、自分の考え方、
取り組み方によるものだということ。
これも、100%同感。
自分の職場や、自分の住む街をコキおろす人がいるけど、なんて
自己責任感覚がないと言うか、「愛」がないと言うか、ちょっと
悲しくさえなってくる時がある。
今度そういう話を聞いたら、
「それはオマエが悪いからだ!」と言ってみようかと…。
もうひとつ面白かったのは、「人生経験は鯨のようなもの」という
例え。
そのココロは、「捨てるところがない」。
いろんな見聞、悲しい体験、つらかったこと、楽しかったこと、
恥ずかしかったこと、死にたくなるような思い、などなど、
どれもこれも人生にとってムダなことはひとつもない、と
筆者はエールを贈ってくれている。

さて、最後にこの本に対して、ちょいとばかり懐疑的なところ。
それは、あまりにも楽天的な後付けではないのか、ということ。
今だから自分の人生をきれいに意味付けできたのではないか、
という懐疑。
まあ、ゲスの勘繰りの域を出ないが…。
これまで何回か書いたように、少しでもこう思う読者がいるから、
自伝・自叙伝というのはムズカシいんだと思う。
それでも、この本はそんなに自意識過剰だとは思わない。
中にはあるぜ、手柄話・自慢話・事実以上の武勇伝のオンパレード
のような本や話が。
思わず、「アンタが大将!」と叫びたくなる。
でも、人のフリみてわがフリ直せだよなあ。
とくに、自分より若い人と話す時、気をつけなくちゃなあ。
まあ、年寄りをオダテて陰の笑い話にしてる若い人もいるから、
どっちもどっちかも知れんけど。


2010.07.17:ycci:count(1,135):[メモ/コンテンツ]
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