ぶっくぶくの部屋

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先日、知人某氏と酒飲んで話していた時、
「オマエ、小林秀雄って読んだことある?」ってきかれて、
「たしか、学生時代にいくつか読んだような…」
「ふ〜ん、じゃあ岡潔って知ってる?」
「数学者ですよね」
「何した人?」
「よくわかりませんけど、何で?」
というような会話を経て、すすめられたのがこの本。
「すっごく面白いゾ。オレなんか3回も読んだよ」
そう言えば、この方からすすめられた本にハズレは少ない。
どれどれ、すすめられるままに…。

File No.151
『人間の建設』小林秀雄・岡潔(新潮文庫 362円)
オススメ度★★☆☆☆

東京で寄った本屋ではなかったので、米沢で夜遅くまで
営業している某書店で残り1冊をゲット。
帰宅して、着替えもしないで、早速に読み出した。
ム、ム…、ちょいと難しいゾ、これ。
稀代の批評家と稀代の数学者、ともに20世紀の日本が
生んだ「知の巨人」と言われるにふさわしく、対談内容も
オレにはとってもハイレベル。
でも、ところどころ、すごく共鳴できる部分もあった。
例えば、岡潔が、
「…矛盾がないということを説得するためには、感情が
納得してくれなければだめなんで、知性が説得しても
無理なんです。…人間というものは感情が納得しなければ、
ほんとうには納得しないという存在らしいのです」
と言ってるところ。
あれ、何だかこの言葉、妙に既知感があるなあ。
どこでだったんだろう、とあれこれ考えているうちに
思い当たった。
そう、村上春樹の『1Q84』だ。
「話さなければわからないことは、話してもわからない」
というようなフレーズがあったっけ。
確かにそうかも知れない。
だからオレも、人の話を聞いてる時、ぜんぜん心に入って
こないことがある。オレの感情が受け入れOKをしていない
時だ。
逆に、自分が話している時も虚しくなることがある。
それは、相手が受け入れOKのサインを発していないと
察知した時だ。
「だから、沈黙は金なり」なんては思わないが…。
「知や意によって人の情を強制できない、これが
民主主義の根本の思想だと思います…」
という岡の言葉は、まさに極めつけ。
また、岡は「思索は言葉なんです。言語中枢なしに
思索ということはできないでしょう」とも言っている。
これも同感。
本を読んだり、人と対話したり、ものを書いたりという
「言葉」を介してしか思索できないし、また、仕事も
できない、とオレは思う。
人の情緒を呼び覚まし、感情を揺さぶるような「言葉」
を紡げるようになりたいものだとは思っているが、
まだまだほど遠い。
知の巨人・小林秀雄にして、それを一生の仕事として
きたわけだから、さながら「無知の虚人」のようなオレでは
何をかいわんや…。

こんなにほめて☆2つってアリ?
それは、ハズかしながら「無知の虚人」にとっては、
ちょいとムズカしかったからかなあ〜。
ところどころはよくわかるし、共感も覚える。
全体としても、なんとなくわかるような気はするんだけど、
ビッグネームすぎて、構えちゃったのかな…。



2010.06.23:ycci:count(880):[メモ/コンテンツ]
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