ぶっくぶくの部屋
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あやかりたい
ちょっとご無沙汰かな…。
本読んでないワケじゃあないけど、連日の飲み会で
かなりペースダウンしていることは事実。
先週後半は本さえ開けない日々が続いた。
木曜日はちょいと遠征してハメ外して、金曜日は
記憶断絶、土曜日はちょいと一杯のつもりが…。
このままじゃヤバっと思って読んだのがこの本。
なんつっても、
「2年連続 東大・京大で一番売れた本」という
オビタイトルがふるってる。
アタマいいヤツに少しでもあやかりたいと思ってる
オレみたいな人間は、このテのキャッチにものの見事に
ひっかかる。
File No.137
『思考の整理学』外山滋比古(ちくま文庫 520円)
オススメ度★★★☆☆
第1章の「グライダー」がいきなり面白い。
与えられた知識だけを吸収し、自ら飛ぶ力を持たない、
いわば詰め込み教育の産物たる秀才を称して「グライダー」。
多いかもな、そういう人。
インターネットが普及してからは、そういう傾向がもっと
顕著になっているような気がする。
ネットでちょこっと調べて、さらっとなでるように見ただけで
わかったような気になってしまうことって、オレも身に
覚えがある。
ネットは「入口」としては便利なツールだが、そればっかだと、
「自分で翔べない人間はコンピュータに仕事を奪われてしまう」
と著者は喝破する。
「見つめるナベは煮えない」というのも面白い。
まだかまだかと思いながらナベを見つめてても、なかなか煮える
まで時間がかかる、ように感じる。
つまり、自分の中で、あるアイディア(発想・着眼・想念)が
浮かんだら、それをすぐにカタチにしようとせず、しばらく
自分の中でジッと熟成させておくべきであるということ。
言い換えれば、そのことをしばらく忘れることが、ほど良い
「熟成」につながっていくのだそうだ。
フラッシュアイディアやジャストアイディアは、ゆめゆめ口に
してはいけないんだ。
自分の中でずうっと温めて、その間に、いろんな触媒を降り注ぎ、
醸成し、孵化を待つ…。
ああ、耳が痛い。
オレは真逆の言動をとっているのではないか。
最近も、あるアイディアを温める間もなくしゃべっちまった。
しゃべっちまうと、なんだか空しいし、それまでの興味関心も
とたんに色あせてしまうような気がする。
やっぱ、ひとつのアイディアから大事を成そうとするなら、
軽々と人にしゃべっちゃあいかんし、そのことだけに固執して
(=ナベだけを見つめていて)もいかん、ということなのか。
人間の脳の記憶容量には限りがあるから、当然のことながら
「忘れていく」ことも必要であると著者は言っている。
しかし、価値観がしっかりしてないと、大切なことを忘れ、
つまらないことを覚えていることにもなると。
これも、オレにはちょっと耳が痛い。
そして、もうひとつ。
どんなところだといい考えが浮かぶか?
それは、「三上」と「三中」だと言う。
「三上」とは、馬上・枕上・厠上。
つまり、馬に乗っている時、枕をして寝る時、そしてトイレで
便器に座っている時。
ちなみにオレは、馬上(オレの場合自転車)では何も考えず、
ただひたすら流れる風の中にいる快感に身をゆだねている
(カッコつけすぎ?)。枕上では、宝くじや大穴馬券に当たった
ことを夢想して寝る。厠上ではカレンダーを見ながら温泉に行く
楽しい予定を考える。
いい考えが浮かぶというよりは、楽しいことを想う場になっち
まっている。
まあ、それはそれで…。
一方、「三中」というのは、この著者の創作で、「無我夢中」、
「散歩中」、「入浴中」のことを指している。
確かに「散歩」は思考にすごく適してるかも知れない。
まあ、このように、各々の思考の整理の仕方について、この
本は述べているわけだが、確かに示唆深い。
そして、奇しくも読後感で誰かが言ったように、
「もっと若い時に読んでいれば…」とオレも思う。
後悔先に立たず…。
(でも、後悔しないヤツなんていっか?)
2010.04.28:
ycci
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