ぶっくぶくの部屋

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先週は低気圧に悩まされた。
ちょうどMAXの時に酒田にいて、一泊して翌日
東京の予定。
夜中じゅう吹き荒れた暴風は朝になっても止まず、
電車か飛行機かと迷いながらも、とりあえず早朝の
酒田駅へ。
そしたら、特急「いなほ」の始発は運行する模様。
一方、羽田行のANAの残席は2席。
空港まで行って乗れなかったらアウト。
となったら、選択は当然、と即断即決で電車へ。
「いなほ」は順調に酒田駅を定時に出発、と思いきや、
ほどなく徐行運転に。
「風速が規制値を超えてるため」とのアナウンスが
繰り返される。
「な、なんだよ〜」と少しイラつき始めながら車窓に
目をやると、最上川をわたって間もなくの線路沿いに
慰霊碑のようなものがあった。
「そうか!」
あれは2005年のクリスマスの日、「いなほ」が強風で
脱線事故を起こし、5人の尊い命が奪われた。
その慰霊碑なんだと気がついて、思わず合掌。
「そうそう、亡くなった方のためにも、あの事故を教訓に
して、安全第一でなきゃ」
と気を取り直して長期戦の体制へ。
朝飯抜きで、車内販売なし、自動販売機なしの中、飲まず
食わずでおよそ5時間、じっとガマンの子であった。
3時間近く遅れて新潟に着き、ほどなく上越新幹線で
東京へ。そして、その日の最終の山形新幹線でトンボ帰り。
通算すると、およそ9時間も電車に揺られた1日だった。
ふう〜。
人間辛抱だ!
人は人生の残り時間の方が少なくなった時から短気になる、
というのがオレの持論で、自身もご他聞に漏れない。
が、不本意にムダ・ムリを強いられることに単純に怒って
ばかりいないで、グっと飲み込んで受け入れる時もたまには
必要で、それが器量の大きさになる…。
ちなみに、オレは受け入れたんじゃあなくて、疲れきって
怒りもどこかに雲散霧消してしまっただけ。

File No.136
『青年ヒトラー』(平凡社新書 760円)
オススメ度★★★☆☆

「いなほ」の車内で読んだのがこの本。
なんせ、新書2冊ぐらい読めるほどの時間乗っていたから…。
以前も書いたけど、かのアドルフ・ヒトラーは、オレと同じ
4月20日の生まれ。
まあ、誕生日が一緒というだけで、あとは何の共通点もないが。
いや、ひとつだけあるかも。
それは、アドルフが読書家だったということ。
それも、体系的な読書ではなく、あちこち拾い読みのつなぎ
あわせだったという点。オレの読書も気まぐれで、場当たり的で、
興味関心がコロコロと変わっていく。
そもそも、この本を手に取ったきっかけは、アドルフがなぜあのような
狂気の世界に入っていったのかを知りたかったため。
自叙伝の『わが闘争』では、おそらくその答えは出ないだろう。
アドルフはオーストリア生まれで、青年期をウィーンで過ごす。
画家を目指して美術学校の入試に連続して失敗したウィーン時代は
失意の底にあったようだ。
彼が劇的に変わるのは、第一次世界大戦に従軍してからのようだ。
伝令兵として目覚しい活躍を見せ、「一級鉄十字章」にも輝いている。
その後、政治活動に目覚め、ミュンヘンを拠点にナチ党を立ち上げる。
その総決起をしたのが、かの有名なビアホール「ホフブロイハウス」。
オレも、十数年前に行った事があるが、夜中にもかかわらず、
ゲルマンの血を引く堂々たる体躯の男たちが、1リットルのジョッキ
を豪快に飲み干し、立ち上がって勇ましく合唱する様は、まるで
アドルフの頃を彷彿とさせた。きっと、その時の熱気と興奮も
こんな感じだったのだろうと…。
そして、最大のナゾは、アドルフがなぜあれほどまでのユダヤ人迫害
をしたのか、である。
この本では、
「彼(アドルフ)がユダヤ人の存在やあり方をそれほど憎悪し、
否定しなければならない理由や背景はまったくない」と述べている。
そして、
「反ユダヤの主張が庶民一般、労働者、兵士などの共感を呼んだ。
…反ユダ主義の考え方が、広く民衆に受けることに彼は気がついた」
と。
つまり、信条・哲学というより、政治的なプロパガンダだったの
だろうか。
そして彼の闘争は、筆舌に尽くしがたい凄惨な所業の数々と
破滅への道をたどっていく。
まさに「文明の危機」とまで言われた悲劇の道でもある。
果たして、アドルフ一人が「狂気」だったのだろうか…。
2010.04.18:ycci:count(1,059):[メモ/コンテンツ]
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