ぶっくぶくの部屋
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眠れる獅子が目覚めはじめた
先週、東京ビックサイトの展示会に行った時のこと。
展示準備のため前日から会場入りし、ホテルに宿泊。
超満員だとはわかっていたけど、翌朝の朝食会場での
人の多さにはちょっと閉口させられた。
オレの後ろにいた若い中国人のオネエチャン、オレの
トレイの前に手を突き出してオカズをとりはじめた。
(オイオイ、そんなにガツガツしなさんな)
ってな目で制したつもりだったが、一向に止めない
どころか、今度はオレの先に行ってトレイを払いのける
ように逆走。
普段のガマンが限界に来てたのも手伝ってか、ついに…。
File No.118
『不思議な経済大国 中国』室井秀太郎(日経プレミアシリーズ 850円)
オススメ度★★★☆☆
中国はかつて「眠れる獅子」と形容された時代があった。
広大な国土に膨大な人口というはかり知れない潜在力を秘めながら
それが生かされてない、ということだったのだろう。
でも今は違う。
その経済力は、日本を抜いて世界第二位になろうとしている。
(なった、のかな?)
眠れる獅子は、目を覚ましたのである。
しかも、まだ目を覚ましたばかりだ。
なぜなら、今の中国の発展は、主に長江デルタ地帯を中心とした
東部沿海部が原動力となっており、農村が多い中西部の開発は
まだまだ途上にある。
中国の人口は約13億人(と言われている)。
そのうち、沿海都市部の人口が約3億人ということだから、
その潜在力の大きさは、ゾッとするほどだ。
この本は、「社会主義市場経済」という一見矛盾したような
体制のもとで急成長を遂げている中国の力の源泉や、不思議さ、
課題などについて10章にわけて論じている。
ナルホド、そういうことか、と思わせるようなことが随所に
出てくる。
中国の産業の問題点のひとつは、研究開発費が少なく、とくに
基礎研究が少ないという指摘。
それが、コピー製品やパクリ製品の多さに象徴されている。
農村部に売り出した「芋も洗える洗濯機」には笑ってしまった。
あまり売れなかったらしいが…。
もうひとつ、近年よく言われている格差社会。
沿海都市部には、私営企業の経営などで巨万の富を有する
富豪が多く存在する反面、日本円にして年収1万4千円以下で
暮らす貧困人口も4000万人に上るという。
ある人が言ってた「日本と中国の物価の差は6〜8倍」という
のを適用してみると、年収8万4千円〜11万2千円となる。
10倍に見積もっても14万円。
富裕度もスゴいが、貧困度もけたはずれ。
さらにもうひとつ。
近年の中国を脅かしている環境問題。
とくに農村の飲み水の問題は深刻で、現在、約3億人もの農民が
何らかの問題ある水を口にしているという。
これは農村部ばかりでなく、急速な工業化に伴う負の遺産として
都市部にも広がっているらしい。
そう言えば、昨秋、中国に行った時、川の汚さやニオイがちょっと
気になったっけ。
それで、行政の幹部の人たちも、河川の浄化に本腰を入れ始めて
いるとか。
経済の急成長に伴う課題や歪みがあちこちに現れているものの、
いずれ近いうちに、チャイナパワーが世界を凌駕する日がやって
くるように思えてならない。
眠れる獅子は、まだ沿海都市部という「頭」が目覚め始めただけで、
農村部という「胴体」が本格的に躍動するようになれば、ホンモノ
の獅子として世界に冠たる国になる。
血を分けた民族とも言える日本も、中国との良好な関係性のもとで、
永年培った特質と美質で、確たる存在感を示していきたいものだ。
2010.02.07:
ycci
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