ぶっくぶくの部屋
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期待を裏切らない内容
「2009ツールドフランス」のDVDを観た。
スゲェ〜の一言に尽きる。
世界のトップアスリートたちが綿密なチーム戦略のもと
体力・気力の限界まで疾走する姿は感動もんだ。
なんか、オレも力わいてきた。
しかし、外は雪…。
やおら「室内ペダル漕ぎマシン」に跨り疾走、のつもり。
目の前は南仏の風景、沿道からは金髪ネエちゃんたちの黄色い
声援、ん?オレが着てるのはチャンピオンの証「イエロージャージ」
かあ…。
ふとわれにかえると、完全にリバウンドして、弛緩し切った
身体と精神というカコクな現実。
「そんなことしてんだったら、ちょっとは雪払いぐらいしてよっ!」
という家人の叱咤が追い討ちをかけてくる。
でるのはため息と「腹」ばかり…。
File No.112
『世界はわけてもわからない』
福岡伸一(講談社現代新書 780円)
オススメ度★★★☆☆
福岡の出世作とも言うべき『生物と無生物のあいだ』は面白かった。
サントリー学芸賞や新書大賞などを受賞し、ベストセラーになった。
次作『できそこないの男たち』は、オレとしてはさらに面白かった。
福岡はレッキとした分子生物学者であり、著作はほとんど専門分野
のもの。
消極的(消去的)文系(つまり数学や理科がダメなので文系に進んだ
というだけのこと)のオレにとって、トーゼンわからない化学用語
や理解できないことも沢山出てくる。
それでも面白いのはなぜか?
それは、作者の文学(文章)センスが抜群だからである。
自分が愛してやまない、そして興味が尽きることのない分子生物学の
世界に、まるで物語のようにいざなってくれる。
だから、ところどころわからないことがあっても、さして気にならない。
いわゆる「流れ」を作れる才能があるんだろうな。
この本は、後半からがさらに面白い。
アメリカ・ニューヨーク州コーネル大学生化学研究室のエフレイム・
ラッカーとマーク・スペクターが、発ガンのメカニズムとも言うべき
リン酸化酵素とその働きを解明する!?という世紀の大仕事を進めて
いく過程を彼らの実験を主に追っていく。
そして、これはノーベル賞間違いなし、と思いきや…、
その実験結果にスペクターの捏造が入っていたことが露見してしまう。
スペクターは行方をくらまし、ラッカーも研究者として痛手を受けて
しまう。
(これはフィクションではない)
そして作者の思いは最後に凝縮されている。
「この世界のあらゆる要素は、互いに連関し、すべてが一対多の関係で
つながりあっている。つまり世界に部分はない。部分と呼び、
部分として切り出せるものもない。そこには輪郭線もボーダーも
存在しない。…
世界は分けないことにはわからない。しかし、世界は分けても
わからないのである。…
分けてもわからないと知りつつ、今日もなお私は世界を分けようと
している。それは世界を認識することの契機がその往還にしかない
からである。」
なんと示唆深い言葉だろう。
これは、分子生物学の世界に限らず、人間社会・森羅万象に言える
ことなのではないだろうか。
やはり福岡伸一は期待を裏切らなかった。
2010.01.17:
ycci
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