ぶっくぶくの部屋

ぶっくぶくの部屋
ログイン

昨日は「フツーの人」もいい、って書いておきながら、
今日は一転して英傑の代表選手とも言うべき坂本龍馬
とは、オレも節操がないというか、支離滅裂というか。
まあ、今日から大河ドラマ「龍馬伝」が始まったんで、
一応読んでおこうか、というぐらいのいつものカルイ
動機。
「龍馬伝」の1回目もなかなか面白かったけど、家人が
福山の大ファンだけに、もう観る目がチョーマジ。
(うわあ、な、なんだコイツは)と改めて驚く一方、
(良かったあ、この1年楽しみが別に出来て。これで
オレもなんやかんや小言を頂戴することも少しは減る
だろう)と思うと、ドラマでうっとりしている家人とは
また違った意味でニターとしてたりして…。

File No.106
『坂本龍馬』池田敬正(中公新書 700円)
オススメ度★★☆☆☆

この龍馬という男、知れば知るほど魅力が増してくる。
司馬遼太郎だっけかの「幕末の日本に、神(天)が
つかわせた人間」という評も、あながち的外れではない。
この本は小説ではなく、歴史の専門家が資料に基づいて
書いた、言わば歴史書。
なのに、1965年の初版以来、2004年まで62版
も重ねているという超ロングセラー。
40年以上にもわたって、いかに多くの人たちに読まれて
きたかがわかる。
司馬遼太郎の『竜馬がゆく』には、志や気宇壮大さを感じ
たが、この本には、等身大の龍馬が感じとられる。
亀山社中、海援隊、船中八策、薩長同盟など、日本近代化の
ターニングポイントになった中心に、常に龍馬がいた。
彼が事を成し得たのは、理想や志に燃えていたからだけでは
なく、商人感覚からくる徹底したリアリズムと策略にあった
ことも、なんとなくわかる。
だから、過激な尊王攘夷派でもなく、もちろん佐幕派でもなく、
どちらかと言うと、天皇を頂点とする雄藩連合のような形で
迫り来る外圧をはねかえせるような力を持った国家にした
かったのかも知れない。
でも、龍馬は改革の果実を見る一歩前で、同志ともいうべき
中岡慎太郎とともに凶刃に斃れてしまう。
暗殺された11月15日は、奇しくも龍馬の誕生日。
『竜馬がゆく』では、ラストの竜馬暗殺の場面で、作者司馬の
怒りと失望が率直に出ていて、少々驚かせられた記憶がある。
それだけ、偉大な巨星を失ってしまったということだろう。
板垣退助は、もし暗殺されずに生き延びていれば、「中岡は
政府高官になっていただろうが、龍馬は、岩崎の三菱と同じ
ぐらいの大財閥になっていただろう」と言っている。
まさに、経世済民(=経済)を地でいくような男だ。

伏見の寺田屋(龍馬が投宿していた折、危うく捕縛されそう
になった旅館)を訪ねた時、浴室に「お龍さんが龍馬を
助けたお風呂」みたいな説明書があって、少し苦笑いして
しまった。
いわゆる「説明のし過ぎ」で、よくあるパターンでは
あるが、ゲンナリしてしまう人もいるのでは…。
龍馬は、この寺田屋で負った傷を癒すため、お龍さんと、
九州の霧島あたりに新婚旅行(日本初?)もしている。
この当時にしては、かなり斬新というか、思い切ったこと
だったのだろう。
このあたりにも、旧習や些事にこだわらない龍馬のスケール
の大きさを感じるなあ。

何はともあれ、この1年、家人のじゃまをしないように、
時々片隅で静かに、「龍馬伝」を楽しませていただこうかな。
だって、放送中にミカン食っただけで、「ウルサイッ!」って
すごい険悪な目でニラむんだもん。



2010.01.03:ycci:count(1,005):[メモ/コンテンツ]
copyright ycci
powered by samidare
▼コメントはこちら

名前

件名

本文

URL

画像

編集/削除用パスワード
※半角英数字4文字で自由に入力下さい。


手動入力確認イメージ
※イメージ内の文字を小文字の半角英字で入力して下さい。



 ※ 投稿後、すぐに反映されます。
powered by samidare