ぶっくぶくの部屋
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そら恐ろしい
いよいよ年の瀬だねえ。
今年もあっという間に過ぎていったって感じだなあ。
新しいことにチャレンジせねばと思い自転車を始め、
思考にバリエーションを持たせようと「ぶっくぶく」を始め、
仕事面では自分なりに地域の将来を視野に入れ始め、
遊びも躊躇することを払拭し始めた…
というのに、時間の下り坂的加速は止まらない。
File No.103
『告白』湊かなえ(双葉社 1400円)
オススメ度★★★☆☆
これも去年から今年にかけて話題になった本で、2009年本屋大賞
を受賞した。
いつも本屋で見かけていたのだが、ついぞ、これまで手にとる
機会がなかった。
でも、一応、今年の話題作だから読むだけ読んでみっか、ってな
軽い動機で読み始めたら、やっぱウワサにたがわず面白い。
この本は、女性教師が勤め先の中学校を退職する日の担任クラス
でのラストスピーチ「聖職者」から始まる。
この章で事件のアウトラインが浮かびあがる。
その内容たるや、いきなりセンセーショナル。
第ニ章は、担任クラスの女生徒による投稿という形の「殉教者」。
第三章は、事件当事者の一人である男子生徒の姉が、母親の日記を
読んでいく「慈愛者」。
第四章は、その男子生徒の告白をつづっている「求道者」。
第五章は、もう一人の当事者である男子生徒がウェブ上に書いた
遺書である「信奉者」。
そしてラスト第六章が、退職した女性教師から当事者である
男子生徒への携帯電話という形をとった「伝道者」。
これだけ書いても、読んでない人はなんのこっちゃ、あまり良く
わからないかも知れない。
ちょっとだけストーリーを教えると、あるシングルマザーの女性
中学教師が愛娘を事故で亡くし、それが実は殺人であることに
気付き、巧妙且つ心理的な復讐(更生?)を仕掛けていくという
もの。
でも、その過程には、さまざまな人間の性格や生い立ち、ゆがみ
が交錯している。
っと、このへんで止めておかないと、読む楽しみがなくなって
しまうね。
もうひとつだけ。
ラストの第六章では、事件の仕掛けが語られ、ドラマチックな
結末が待っている。
ゆめゆめ、ラストを最初に読むなんてことはしない方がいいよ。
(たぶん、そんな人はいないと思うけど…)
この本を書いた湊かなえは30歳代の女性。
この前の『償い』を書いたのも女性。
そして、『告白』の修哉と、『償い』の真人は、同じ中学生であり、
その歪みや狂気、強烈な自我などが酷似している。
ちょっと、そら恐ろしい。
2009.12.29:
ycci
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