ぶっくぶくの部屋
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遅ればせながら
昨年秋ごろからこの本が話題になりはじめ、
書評を読んですぐ買って読み出した。
が、少し読んで間を空けているうちに行方がわからなく
なってしまった。
どこかに忘れてきたのだろうか?
もう一度買うのもシャクだし…。
と思いつつ1年以上が経った先日、ふだんはあまり目の
行かない場所にこの本があった。
あ〜あ、整理整頓も下手だし、ものを探すのも下手。
しかもご幼少のみぎりからわすれものの王者ときては
打つ手なし…。
File No.94
『悩む力』姜 尚中(集英社新書 680円)
オススメ度★★★☆☆
何を今さら、とっくに読んだわ、という人も多いだろう。
それだけこの本は昨年から今年にかけて話題になった本である。
明治の文豪夏目漱石やドイツの社会学者マックス・ウェーバーの
著作や思想に焦点を当てながら、悩みながら生き抜く強さを
引き出してくれる好著である。
その中味は、「自我」「金」「知性」「青春」「信仰」「労働」
「愛」「死」「老」という9章にわたる。
「知性」の章では、ネットの急速な普及で、表層的で浅薄な知識
らしきものが蔓延し、「知ってるつもり」になってやしないか、
と警鐘を鳴らす。
誰しもが身に覚えのあることかもしれない。
「労働」の章では、何のために働くのかについて明解なアプローチ
をしている。
働くことの意義は、一人の人間が社会的な存在として他者に
認められること。それは、家庭での存在価値とはまた別のもの
であると言っている。
うむ〜、これももっともだなあ。
自殺の抑止になるのも、他者との関係性や社会でのまっとうな評価
であろう。
つまり、信じることのできる人や心の支えになる人の存在が大事であり、
そういう人たちとの信頼できる交流関係を作っていくために、自分の
中に「心の城」を勝手に作らないことだと言っている。
いろんなことに悩み続けてきた著者だからこその卓見でもある。
そう言やあ、オレ(たち)は、いろんなことに悩むことを意識的に
避けてきている気がするよなあ。
あたかも、時間のムダであるかのように…。
これじゃあ、真の自己肯定なんて出来るワケがない。
「いかに生きるべきか」の答えなんて簡単に出ようハズがない。
でも、「まじめに」「前向きに」悩み続けることによって、生き続けて
いく力が養われていく、という論には、多くの読者が勇気付けられた
ことだろう。
加速する文明は、ますます人間を取り残して孤独にさせてしまうが、
とにもかくにも、現実問題としてはそれに遅ればせながらもついて
いくしかないのだから。
こんなに褒めちぎって★3つってどういうこと?
それは「終章」がオレ的にはちょっと…。
「悩んで、悩みぬいて、突き抜けろ!」だって?
ここまで書いて、そんなのアリかよ!(と、オレが思っただけ)
2009.11.29:
ycci
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