ぶっくぶくの部屋
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不朽の名作をついに
「ティファニーで朝食を」という映画をご存知でしょうか?
私はだいぶ以前に名画座で観て、オードリー・ヘップバーンの魅力に
ボーとしてしまった記憶があります。
その原作者が、「アル中でヤク中でホモの天才」と自称する
トルーマン・カポーティ。彼の代表作で、今もってノンフィクション・
ノヴェルの不朽の名作と言われているのがこの『冷血』です。
File No.34
『冷血』トルーマン・カポーティ 佐々田雅子訳
(新潮文庫 895円)
オススメ度 ★★★☆☆
いやあ、なかなかの読み応えです。600頁以上に及ぶ長編なので、
読み切るのに3日ぐらいかかりました。
1959年にアメリカ・カンザス州・ホルカム村で起きた一家4人惨殺事件を
膨大な取材・資料によって、ノンフィクション・ノヴェルという形で
再構成した本です。
今から50年前に起きたこの事件は、動機なき殺人として全米を震撼させ
ました。
幸いにして犯人はひょんなことから割り出され、捕まるのですが、
その殺害理由の薄弱さや軽さ、人の心に宿る狂気の闇に震撼させられる
思いがします。
幼少期に親や周りから受ける愛情の多寡が性格形成に大きな影響を与える
のではないか、という興味深い示唆もしています。
もっとも、今となっては通説になってしまった感はあるのですが。
この本が洋の東西で長く読まれ続けているのは、その犯罪者心理を地道な
取材で炙り出している点にあるのではないでしょうか?
もうひとつのテーマは死刑の是非です。
とくに後半は、犯人たちが死刑執行されるまでの様々な葛藤や、社会的
紆余曲折が精緻に描かれています。
やっぱ、カポーティは「天才」なのかもしれません。
彼自身も悲惨な末期をたどったようですが。
いずれにしても、推理小説ファンや犯罪小説に感心のある人にとっては、
一読に値する一冊ですよ。
2009.04.08:
ycci
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