ぶっくぶくの部屋
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乾いた情感
この本(雑誌)買うのに少々勇気が要りました。
だって、表紙の特集タイトルにデカデカと、しかも赤色で
「官能小説フォルテッシモ」って書いてあるんです。
私は、連載されているある作家の(真面目な)作品が読みたくて
ここ数回買っているわけでして、ネライは「特集」ではないん
です…、ホントに。
でも、せっかく買ったんで、あくまでもついでにその特集も少し
読みました、ら、
ナント、感動の小品が載っていたのです。
(言い訳がクドくてスンマセン)
File No.30
『夢のまた夢-道頓堀情歌』団 鬼六
小説新潮2009年4月号(780円)
オススメ度 ★★★☆☆
この作者の名前を見たら、「ええっ、エロ小説?、ぶっくぶくも
ついに本性をあらわしたか」って思う人も多いでしょう。
確かに性的な描写も一場面だけ出てきますが、みだらな期待?を
みごとに裏切るんですよ、この小説は。
舞台は終戦直後の大阪。米兵相手の娼婦だった女が、自分の
父親ほどの歳の中年男と恋をし、荒んでいた心が徐々に矯正され
ていくのを、その中年男の実の息子からの目で語り進んでいく
話です。
こう書いてしまうと、ありふれたストーリーのようですが、
わりと湿っぽいことを、少しばかり乾いた感情で綴っていくことに
妙な魅力を感じ、ワタシ的には好きな部類に入ります。
とくにラストの展開は、お涙ちょうだい的な書き方でもないし、
未熟な恋愛小説のような誇大演出もないのですが、なぜかホロっと
させられます。
自分自身が中年男だからかもしれませんが…。
こういう話が、実際にいくつもあったんでしょうね、きっと。
2009.03.28:
ycci
:count(755):[
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