ぶっくぶくの部屋
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たまにはジュン文学を Part2
『ポトスライムの舟』の世界でちょっと気が
滅入ってしまいました(ケナシではありません)ので、
口直しに男の世界をと思い、そこらへんを探して
いたら出てきました。10年前の芥川賞受賞作品。
ということは、「積ん読歴」も10年だったわけかな?
File No.14
『ブエノスアイレス午前零時』藤沢 周(河出文庫 440円)
オススメ度 ★★☆☆☆
なんか題名を見るとハードボイルドのような雰囲気がする
でしょ?でも、これがレッキとしたジュン文学、それも、
芥川賞受賞の名作なんです。
スカッとしたものを期待してたんですが、ところがどっこい、
これも人間の精神の再生をテーマにしています。
都会の広告代理店勤めを辞め、故郷の温泉旅館で番頭しながら、
厭世的にウツウツと生きる男カザマ。
舞台設定が、ダンスホールのある温泉旅館ですから、レトロ
というか、何と言うか…。これは作者が勝手に想像で設定した
ものなんですが、偶然にも、該当の温泉地にそういう旅館が
実際にあったんだそうです。今でもそのダンスホールは残って
いるかも。福島と新潟の県境ですから、米沢からもそう遠く
ないですよね。
この温泉旅館に、ある日、盲目の老女がやってきて、カザマ
が一緒にダンスするんです。
今の若い男性なら、「キモイ」とか「ウザイ」とか言って
取り合わないでしょうね。そういう言葉・気持が自らを
すごくうすっぺらいものにしているんじゃないかと考え
させられます。
これは、私の主観的な読み方ですが、その盲目の老女と
踊ることによって、カザマの荒んだ心が再生されていった
んだと思うんです。
だからこそ、この作品は、20世紀最後の名作とも言われるん
でしょうね。
1時間ぐらいで一気に読めますよ。
2009.02.24:
ycci
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