天地人
▼良かったのに!?
今日は2011年の大晦日。
多くの家庭で某局の国民的歌番組を楽しんでいるだろう。
我が家の茶の間も例外ではない。
毎年のことながら、よくもまあ、と思う。
オレは中学の頃には「卒業」した。
そんぴん者同類の亡父も歌番組は決して観なかった。
一人部屋でラジオの落語を聴いていた。
オレもマネして聴いてみると、こりゃずっとこっちの方が
面白くて、何だか大晦日にもふさわしいような気がした。
かたやスペシャルドラマ「坂の上の雲」が完結した。
これは良かった!
今までに観たテレビドラマの中でも秀逸の出来。
テレビを殆ど観ないオレが全13話をカンペキに観た。
さぞかし高視聴率と思いきや、ナント平均14.45%だど。
なんで?
オレ的には20%はおろか、30%を超えても良いような内容
なんだけどなあ〜。
世の好みの流れからオレがズレてるってことか?
File No.290
『怨霊になった天皇』竹田恒泰(小学館文庫 590円)
オススメ度★★★☆☆
実は、年内に300回を突破しようと目論んでたのよ。
それが、年末忘年会連チャンの嵐で、到底叶わぬこととなって
しまった。
その上、年末年始に読む本を5冊決めてたんだけど、何やかんや
あって、今日がやっと1冊目。
もうこうなったらジックリ読むことにする!と開き直って…。
この本は、政争に敗れたり謀殺されたり、いわば「憤死」した
歴代の天皇を取り上げ、それが怨霊となって厄難や危難をもたらした
実際の史話をつまびらかにしていく、皇統裏面史のようなもの。
中でも中心になっているのが、第75代の崇徳天皇。
崇徳天皇は、平安末期、保元の乱に敗れて讃岐国(今の香川県)
に流された。自らの舌を噛み切り、その血で天下滅亡の呪いの
経文を書いて憤死したと伝えられている。
没後は様々な怪奇現象や凶事が相次ぎ、その最たるものが、
壇ノ浦で幼い安徳天皇が海中に身を沈め、もって平家が滅亡して
しまったこと。
崇徳院の怨霊はその後長く祟り、幕末の第121代孝明天皇が
自らの命と引き換えにして鎮魂するまで、およそ700年も続いた。
800回忌は、東京オリンピックを直前に控えた昭和39年。
この時は、高松宮殿下などが出席して、御霊鎮めの祭祀が行われた
そうだ。
怨霊と言えば、天皇ではないが、菅原道真が有名である。
位人臣を極めた道真をねたみ、讒言して大宰府に左遷。
道真は悲憤慷慨して憤死。
その後、謀略をはかった藤原家の人々が次々に斃れていく。
著者は、怨霊とは憤死した本人がそうなると言うよりは、後に
残された者たちが作り上げていくもの、と言っている。
何か禍々しいことが起きると、怨霊の祟りかも知れない、
ということになって、その鎮魂を行う。
だから、恨みを残して死んではいけないのだ、とも。
日本は古くから「融和」を大事にしてきた。
人を徹底的に叩きのめすなんてことは余りない(なかった)。
今の世に残る「お祭り」もこの鎮魂をルーツにしているものが多い。
言わば、御霊との融和でもある。
そんなことがこの本の粋になるのだが、少しばかり釈然としないもの
が残った。まるで、魚の小骨が咽喉にひっかかったような…。
それは、怨霊とその祟りというものが、符丁が合いすぎているのでは
ないかという怖れでもある。
現に、著者の身の上にも異変が起きている。
でも、著者が言うように、怨霊や祟りと言うものを信じ、それを鎮め
ようとする敬虔な気持ちを持つことは健全である証拠だ、と。
蔭で悪事を働いたり、人を貶めようとしても、
お天道様はすべてを見てるんだよ。
来年もまっとうに生きなきゃなあ。
2011.12.31:ycci
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