天地人

▼秋晴れと風邪と…

絶好の秋晴れの下、久々に愛輪VBTを駆って市内に飛び出した。
今日は、市内のあちこちでやってる「まつり」を自転車で廻り
ながら視察見聞。
あっちでもこっちでもいっぱい出てるなあ人が。
仕事柄、まつりを主催・運営しているスタッフの人たちの
ご苦労ぶりに真っ先に気が行ってしまう。
でも、この秋晴れと、多くのお客さんとその笑顔に恵まれ、
スタッフの方々のご苦労も報われたのではないかと思う。
個人的に気になったのは、「ホビーフェア」。
何でも今回が初の開催だとか。
会場に入ってみると、インドアありアウトドアありで、なかなか
楽しいフンイキ。
会場中央にはテントとタープが張ってあって、そこにはなんと
旧友の某君がいるではないか!
仮設タープの中でしばし話し込んでいると、彼のアウトドアライフ
がちょっと羨ましくなってきた。
彼もオレと同じサラリーマン、しかも同い歳。
仕事の合間をぬってアウトドアライフをエンジョイしている由。
今では彼とキャンプしたい人が全国から集まってくるとか。
趣味もここまでくれば「達人」の域。
「こんど一緒にキャンプすっぺ」
「おう、いいなあ」
とは言ったものの、ずいぶん前にオレもこの世界に入りかけた
時があったのだが、生来の「ものぐさ」がその先の行く手を阻んで
しまった経験があって…。
うむ〜、何でもやってみる精神を発揮せねばならぬか!
と思いつつ一旦帰宅したら具合がイマイチ。
そうだ、風邪ぬけてないんだったわ、ふう〜。

File No.260
『生命の未来を変えた男 山中伸弥・iPS細胞革命』
NHKスペシャル取材班 編著(文芸春秋 1429円)
オススメ度★★★★☆

少し前にiPS細胞の本を読んで、面白かったんだけど少し食い足りない
気がして、本屋で探してこの本を買ってきた。
大正解!
今、iPS細胞についてひと通りのことを知りたいと思ったら、この本に
限る。(とは言っても、何十冊も読んだわけではないが…)
それにしても、昨年の9月に放送されたというNHKスペッシャル、
なんで見れなかったのか、かえすがえすも残念でならない。

この本は、iPS細胞の発見と世界の研究の最前線、臨床・創薬応用への道、
倫理問題、超複雑系の細胞の世界、日本の研究体制などの内容から構成
され、それぞれ複数のスタッフがチームをつくって取材しまとめている。
そして、巻末には、山中伸弥と立花隆、国谷裕子(クローズアップ現代
キャスター)の鼎談が収録されている。

オレが最も興味深かったのは、「第4章 iPS細胞で深まる生命の謎」。
この章は、ちょっとした推理小説より面白くてゾクゾクする。
iPS細胞は、山中ファクターと呼ばれる四つの遺伝子から作られる。
iPS細胞成立までには、四つの遺伝子そのものではなく、四つの遺伝子
が関わっている何らかの「別の仕組み」に初期化の役割があるのでは
ないかと考えられはじめているそうだ。
そして、遺伝子そのものは書き換えないが、その働きを内在的・後天的
な方法でON・OFFする機構を「エピジェネティクス」と言って、
近年最も注目を集めている細胞内部のメカニズムのようだ。
先に読んだ本で指摘されていたガン化のリスクも抑制・回避の
研究が相当進んでいるらしい。
なんと言っても、たったひとつの受精卵が、分化に分化を重ね、最終的
には60兆もの細胞になるのである。
そのメカニズムはわからないことだらけ、まさに神秘の森である。

後半の鼎談の中にも、すごく気になることがいくつも出てくる。
ひとつがNKT細胞、いわゆるナチュラルキラーT細胞と呼ばれる
もので、がんのような異常な細胞を攻撃する免疫機能のひとつ。
このNKT細胞を増やして、つまり免疫力を強化してがんを克服
するという新たな治療がiPS細胞によって、非常に臨床に近くなって
いるそうだ。これは、すごい朗報じゃないか!
もうひとつは、細胞の中で進化の過程で潜在してしまった再生能力
があるのではないかということ。
つまり、足や手を切断しても生えてくる能力があるのではないかと。
ええっ、ウッソー、と思うかも知れないが、これは天下の山中伸弥と
立花隆が真剣に語っていることだ。
「…わざわざ細胞を取り出さなくても、切れた足がまた生えてきたり
ということがいつかおきるんじゃないかな、と本当に思います」
だど。すごいよなあ〜、人間の生命のメカニズムって。
一体誰が考えたんだろう。
そういうオレたちって、一体どこから来たんだろうって思うよなあ〜。

この山中伸弥率いる京都大学iPS細胞研究所(CiRA)とオール
ジャパンチームが世界のトップを走り続けることを祈りたい。
山中のモットーである、研究の成果をいち早くベッドサイドに届ける、
そのために特許などの知財を押さえる、そして、世界のトップクラス
ではなく、最高峰の研究所になる、という心意気がいいじゃないか!

蛇足ながら、そんなに時間と金をかけずにiPS細胞について知りたい、
という「虎の巻」ご希望の向きには、日本経済新聞2011年9月20日付
の特集面をご覧になられたい。1面にコンパクトにまとめているので
10分でおおよそのことがわかるよ。





2011.09.25:ycci

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