天地人

▼ほぼ1年ぶりに!

昨年5月30日の「桧原湖サイクリング大会」以来、自転車の
大会に出ていない。
秋に参戦予定だった「ツールドラフランス」は結婚式のため出られず、
5月の「桧原湖―」は震災で延期、思い切って行こうと思っていた
富良野大会も意欲が萎んでしまい…。
大会に出ることが目的ではないのだが、何だか張り合いがない。
そしたら、先日、北塩原村の方がやってきて、
「クライムヒルやりますからよろしく」とのこと。
オレはすかさず、「桧原湖はやるんですか?」と聞いたら、
「7月にやりますよお」だって。
これは絶対出るしかない。
山ひとつ隔てただけの隣町だもん、一緒に元気になってもらわなきゃ、
なんてもっともらしい理由をつけてチーム全員での参加となる見込み。
オレにとっちゃ、ほぼ一年ぶり。
こりゃ楽しみだなあ。
練習もしなきゃなあ、と思いつつ天気予報を見ると、雨マークの連続…。
まあ、いつかは晴れるでしょ!

File No.240
『日本人の誇り』藤原正彦(文春新書 780円)
オススメ度★★★★☆

少し間が空いたので、今回は2つ連発といきたい。

この本の著者・藤原正彦は、言わずと知れたあの大ベストセラー
『国家の品格』の著者でもある。
この本は4月20日に出されたばかりだが、すでにあちこちで
ランクインしており、またまたベストセラーへの道を歩み始めて
いるようだ。
今回の著書は、前作以上にアツい。
中味は「日本論」というより、日本の近現代史といった趣が強い。
もともと多くの美徳を持つ日本が、欧米の帝国主義の脅威にさらされ、
如何に誤った道を進んでしまい、美徳を失ってしまったかを検証
するとともに、その美徳を取り戻すことが日本再生の道であると
アツく説く。
その美徳あふれる日本文明とは、
「個より公、金より徳、競争より和、主張するより察する、惻隠や
もののあわれなどを美しいと感ずる我が文明は、貧しくともみな
幸せそうという、古今未曾有の社会をつくった文明なのです」と。
その「誇り」を回復するためには、
 1.戦勝国の復讐劇にすぎない東京裁判の断固たる否定
 2.日本人による日本人のための憲法を作り上げること
 3.自らの国を自らで守ることを決意し実行すること
の三つだと言っている。
この東京裁判の断固たる否定のために歴史的記述が少し長く
なったようだが、「100年戦争」という括りの中で、日本が
翻弄されてきたことや、外交上の失策、大敗北、しかし大殊勲も
もたらしたことなどが述べられており、なかなか興味深い。

これを読むと、オレたちも論理性・合理性・市場主義など、
本来の日本人には余りなかった価値観に必要以上に浸食されて
しまっていることに気付かされる。
しかし、知識人と自称する人や、分別が付かない(≒恥を知らない)
若者などがとうとうとのたまう薄っぺらな合理・効率至上主義のような
理屈にウンザリさせられ、あつき情と行動力を持った人間に共感を
覚えるというのは、ひょっとして日本人として正常な感覚なのかも
知れないなあ。
論ずるより察する惻隠の情。
オレもかくありたいものだ。

いずれにしても、こういう本が100万部ぐらいのベストセラーに
なれば、日本もオレたちも、まだまだ捨てたもんじゃない、という
ことかな。


File No.241
『98歳伝説の灘校教師 奇跡の授業』」
(週刊ポスト2011年6月24日号 380円)
オススメ度★★★☆☆

おいおい、今度は週刊誌かよ、と思われるかも知れないが、
どっこい、バカにしたもんじゃない。
週刊誌はラーメン屋でパラパラ眺めるものとオレ自身も思っていて、
自ら買うのは年に数冊程度。
今回も、まったくのハズミでコンビニで買ってしまったもの。
グラビアの井上和香が目当てだったわけでは決してない。
なんだか、あえて否定するとかえって不自然ではあるが。
否定するというと、家庭や職場でいろんな疑惑の眼にさらされていて…。
いちいち真顔で否定するのもバカらしく、憮然としているのも
癪にさわり、怒鳴り返すのも大人げなく、ブン殴ると取り返しが
つかなくなるし…、ストレスが溜まる。
つい先ごろも家人に
「5000円ちょろまがしたべ」と言われ、
「それでクールビズシャツ買ったんだ」と言っても、
「うそ!ないじゃん」
(あれ?どこやったんだっけ…)
「ほ〜ら。返してよっ!」
(むぐっ〜、クソお〜)
天にまします神に誓ってオレの信条は「李下に冠を正さず」。
誤解されやすい風貌・風体なのかも知れないが、心はいたって直なのよ、
と自分で言ってどーすんの!

で、何の話だっけ?
まあ、とにかく読んでみてよ。
公立高校のスベリ止めぐらいの程度だった灘校を東大合格日本一の
名門にしたのは、こういう伝説のような教師がいたからなのかも
知れない。
ひとつの短編小説をテキストにして1年間ずっとそれを読みながら
いろんなことを検証・実験・追体験・派生させていく授業は、
多分生徒もすごく面白かっただろう。
誌上にその一部が再現されているが、
「ナルホド、これは面白くて深みにハマるわ」と感じた。
こういう授業を受ければオレも…、なんて夢にも思わないが、
今よりもう少し思考が深くなり、世の中のことがもっと面白く
感じられたのではないかとは、ちょっぴり思う。



2011.06.22:ycci

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