天地人
▼昔懐かしい古本屋さん
天気が良かったので、しばしの街乗りを楽しんだ。
車だと気が付かないような街角の様子を眺めながらの
輪行もなかなか楽しいもんだ。
たまたま某古本屋さんの前を通りかかったので、ものは
ついでとばかり、店に入ってみることにした。
ある、ある、古書が。
小難しそうな題名のハードカバーや昔の雑誌、105円均一の
文庫本、コミック、画集などなど、幾万もの古書が所狭しと
並んでいる。本棚に収めきれず、通路にまで積んである。
そして、古書特有のこの少しカビ臭さ。
うむ〜、これが何ともいいんだなあ。
古本屋の主になることがある時期の夢でもあったオレにとって、
こういう空間はたまらんのよ。
もっと読書欲旺盛な頃だったら、きっと2日と開けずに通う
だろうな。
ってなことで、またまた古本数冊を「成り行き買い」。
古本屋さんもいいけど、どうすんのよオレの部屋の散乱。
散乱ぶりは本のせいもあるけど、それよりオレの整理下手、
というより整理嫌い(=無精)によるところが大きいかも。
File No.229
『日本復興計画』大前研一(文芸春秋 1143円)
オススメ度★★★☆☆
これは古本じゃなく、レッキとした新刊本。
それも4月30日に上梓されたばかりのホヤホヤ。
オレがハードカバーの新刊本を買うのはそんなに多くない。
じゃあなぜ?
それは、オレの誕生日が4月だから。
誕生月に某ネットで本を買うと500円引きになるので。
だけど条件は3000円以上の購入。
1冊は買いたかったビジネス書があって、それが2800円。
ん〜、200円足りない。
文庫本でも1冊買おうかと物色していたら、たまたまこの本の
広告に目が行ってしまって…。
そのキャッチは、
「あなたも参加できる あなたが力になれる」
どういうこと?と思い紹介文を読んでみると、
どうやら、著者はこの本の印税を放棄し、震災復興のために
役立てるとのこと。
それなら、買うっきゃない!
因みに、オレが本を買うのはほとんどが街の本屋さん。
本屋さんにない時は、ネット購入したり、図書館を活用したり、
古本屋さんで探したりする。
やっぱ、現物を手にとって、前書きや目次ぐらい目を通さないと
買う気にならなくて…。
で、大前研一氏。
比較的若い方は、ああ、都知事選に立候補した人?ぐらいだろうが、
オレは、有名コンサルタント会社であるマッキンゼーの日本支社長
として、アメリカナイズされた論客というイメージが強い。
その頃は、オレもいっぱしのビジネスマンにならなきゃと気負って
いたので、氏の著書も何冊か読んだ記憶がある。
読んだ記憶がある、というだけで、どんな内容かはとんと忘れた。
まあ、オレのオツムは昔からこんなもんだ。
でも、氏はその後、というか、都知事選後というか、わりと人間
くさいことを書くようになってきて、少しばかり親近感も湧いてきた。
この本も明快でなかなかいい。
われわれ日本人は、震災後にどう生きて行くのかという指針の
ひとつになるかも知れない。
読んでいて、やたら原発に詳しいと思ったら、氏はマサチューセッツ
工科大学(アメリカの名門大学)で原子力工学の博士号を取得し、
日立製作所で原子炉プラントの設計をしていたという経歴を
持っていた。
なるほど、詳しいハズ。
その専門家が言うには、「日本の原子力産業は終わった」と。
この後、既存原発の稼働もままならないだろうから(現に浜岡も
止まった)、われわれは従来の3分の2の生活にダウンサイジング
すべきだと提言している。
日本の原子力発電の割合が35%だからというのがその根拠のひとつ。
また、東北の復興には、期間限定の消費税アップで対処すべきだとも。
消費税を1%アップすると約2兆円の増収だから、1〜2%を1〜2
年限定でアップし、街や産業のインフラ、被災者の生活再建に充てる
というもの。
オレも賛成だ。
食べて飲んで買って、いわゆる消費行動を活発にすることで復興に
寄与できる。
(だから「あなたが力になれる」なのか?)
赤字国債発行は、復興の呼び水的な使途ならともかく、基本的には
発行すべきではないとも述べている。これ以上赤字国債が増えると
国際的な信用が著しく低下し、市場からの資金調達が難しくなると。
個人生活面では、車や住宅に余り多額な投資をすべきではないと書いて
いる。
クルマ屋さんや建築屋さんが聞いたらマッサオ。
両方とも日本では担保価値というか市場価値が低いからというのが
氏の理由のようだが、オレみたいな俗人にとっては、快適なクルマと
居住空間への憧れは断ち切れそうにもないなあ…。
2011.05.07:ycci
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