天地人

▼あの坂本サンがやってくる

一昨年、41で紹介した『日本でいちばん大切にしたい会社』。
著者は法政大学教授の坂本光司サン。
その後、シリーズ続編も上梓され、50万部突破のセールスと
いうからスゴイ。
その坂本サンが明日米沢に来て講演される。
どんな話が聞けるのか、今から楽しみだ。

File No.227
『ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社』
坂本光司(ダイヤモンド社 1429円)
オススメ度★★★★☆

『日本でいちばん…』シリーズとはまた別の本だが、趣旨はほぼ同じ。
とくに小さい企業(事業所)を取り上げているのが特徴か。
この本を主体にして、坂本サンの観点・論点をオレなりに3つにまとめて
みると次のようになる。

1.単なる理論ではなく、数多くの現場を踏んだものであること。
 坂本サンはこれまで6300社以上もの企業を訪問されてきたと
 いう。お歳がいくつか知らないが、仮に40年活動を続けてきた
 としたら、1年におよそ160社。2日に1社訪問というペース。
 こうした経験を積み重ねることによって、企業を見る眼が培われ
 てきたのだろう。そして、企業やその経営者を見つめる眼差しは
 熱く、且つ優しい。

2.他のせいにせず、利にばかり走ることなく、世のため人のために
  身命を賭している企業・経営者に熱いエールを注いでいる。
 うまく行かないと、「規模が小さいから」とか「景気が悪いから」
 とか「人材がいないから」とか、とかく他のせいにしがちだ。
 何事につけ、程度の差はあれ、多くの人が身に覚えのあること。
 オレだって例外ではない。
 坂本サンが紹介する企業は、なべて人のせいにしない。
 そして利ばかりを追求しない。
 それどころか、利益を度外視して人の幸せを追求する。
 いわば、「愛」と「幸せ」の事業経営とでも言うべきか。
 そういうエピソードや苦労話を聞きながら、一緒に涙する坂本サン
 がいて、読者の方も思わずジーンとしてしまう。

3.「愛」と「幸せ」の事業経営に誠心誠意取り組んでいれば、
  必ず支援の手が差し伸べられ、それがネットワークとしての
  財産になる。
 各紹介ケースに共通するのは、外部とのいいネットワークを持っている
 という点。利他の心・愛の心がわかれば、必ずや支援・賛同の輪が
 できるということ。
 「天網恢恢、疎にして漏らさず」
 簡単に言うと「お天道様が見てるよ」ということか。

この本で紹介されている8社は、規模が小さいせいか、『日本でいちば
ん…』にも増して味わいがある。
「そんなにうまくいくか」とか「成功譚ばっかりじゃないか」
などと言うことなかれ。
そんな斜に構えすぎたら成長が止まった証拠。
現に、こういう企業があるんだから、訪問できないまでも、素直に
吸収してみたいものだ。

2011.04.26:ycci

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