天地人

▼生来のものぐさ

年末になると憂鬱なことがひとつある。
それは大掃除。
元来がものぐさな性格なもんだから、身辺乱雑なこと
極まりない。
それを一気に片付けなければならない大掃除の時期を
迎えると憂鬱になるのである。
でもそれは、はじめるまでのことで、やりはじめたら
必要以上に「整理」してしまう。
後に残るのは、ほんのひと時の爽快感と、大事なものまで
捨ててしまった後悔。
そして、1月半ば過ぎには、また元の木阿弥。
こんなこと何年繰り返しているのやら…。

File No.197
『つるおか おうち御膳』鶴岡市他編(1,000円)
オススメ度★★★☆☆

料理の本なんて殆ど興味はないのだが、ある方にこの本の入手
を依頼されて、鶴岡在住の方に頼んだら、瞬く間に品切れで、
増刷分も売り切れているほどの人気だと聞き、そんぴん者としては、
俄然欲しくなった。
依頼してから1カ月ほど何の連絡もないまま、半ばあきらめかけて
た頃に送られてきた。
中味は、庄内・鶴岡地区の郷土料理が、写真とレシピで紹介されて
いるもので、ナルホド、これだったら売れるわな、と思わせる
ものだった。
ページを繰っていると、どれもが美味しそうで、思わず生唾を
飲み込んでしまう。
ここ米沢と共通しているものもあれば、まったく違うものもある。
決定的な違いは、当然のことながら海産物の有無だ。
なかでもオドロキは、「とうもろこしの味噌汁」と「枝豆の味噌汁」。
何分割かに切ったとうもろこしがそのまま味噌汁の具になっている!
枝豆がさやごと味噌汁の具になっている!
写真で初めて見て「えっー!」ってカンジ。
内陸地方で生まれ育ったオレとしては、さながらケンミンショーを
見ているような感覚でもあった。
でも、たぶん美味しいんだろう。
前にも感じたことがあるが、新しい食へのチャレンジとか、全く
異なる食文化の理解・受け入れというのは、人間の知性のなせる技
であると思う。
自分の許容範囲が狭い人は、決して受け付けない食物が多い。
つまり、好き嫌いが多い。
オレが良く知っている○○さんは、イナゴの佃煮を決して食べない。
それどころか、美味しそうに食べてる人を、まるで未開人を見るような
目付きでさげすむ。
食べてみれば美味しいのに。
食えるものなら何でも食べてみる、少しでも関心のある事は何でも
やってみる、評判の悪い人とも飲んだり話したりしてみる、何事も
まずは先入観を持たずに臨んでみることが、自分自身の世界を
広くすることなんだと思う。
な〜んて、エラそうなことを書くと、いかにもオレがそうしているよう
に見えるが、ものぐさな性格が禍してか、さほどチャレンジングな
行動をしているわけではない。

ん?話がかなり脱線したかな。
ともかく、郷土料理や家庭料理に興味のある方は、ぜひ一度ながめて
みると面白いかも知れない。
置賜・米沢版が出れば、きっと鶴岡と同じように売れるだろうなあ。
パンフや小冊子はいくつかあるようなのだが、こうした一般家庭に
普及できる現代版の総覧は見たことがない。
(学術的な労作はあるが…)
口で言うほどたやすい仕事ではないが、ヒラメキやヤッツケばかり
でなく、こうした「後世にも残る」ど真ん中直球のような仕事が
必要なんだなあ。

2010.12.11:ycci

HOME

(C)

powered by samidare