天地人
▼地デジにしたけれど
テレビをあまり観なくなって久しい。
観るのは朝のニュース、大河ドラマ(たまに)、ドキュメント
もの(たまに)、「世界街あるき」(なるべく毎回)ぐらい。
今年、家族の強硬意見と職場某氏の強いおススメで、わが家も
ようやく地デジの液晶テレビにした。
が、ほとんどオレへの恩恵はない。
せいぜいエコポイントをほとんど全部図書カードにして
ガメったぐらい。
テレビをあまり観ない理由は、観る時間がない、茶の間に
居たくない(小言を言われたくない)などなどあるが、
いちばんは「面白くない」のである。
File No.192
『テレビの大罪』和田秀樹(新潮新書 700円)
オススメ度★★★★☆
これは痛快で面白かった!
最近のテレビがもたらす害悪について、様々な具体例を引きながら
一刀両断にしていくような観がある。
その第1章が「ウエスト58cm幻想の大罪」。
これは、テレビに出演している女性タレントのほとんどが、
「公称ウエスト58cm」と言ってることへの疑問と、それを
多くの女子中高生が真に受けて不健康なダイエットに盲信的に
のめり込んでいく「罪」を喝破しているもの。
精神科医でもある著者によると、太め(BMI25~30)の人が
日本では一番長生きなんだってよっ(思わず力が入る)。
ちなみに、BMIというのは、体重(kg)を身長(m)の二乗で
割った肥満指数で、オレはこの一番長生きの部類にスッポリと
入るのである!
あ~、少し自信ついた(?)。
しかしこの著者、優しそうな顔をしてるのに、言うことはかなり
手厳しい。
「テレビというメディアの最も罪深いところは、知的レベルの
高い人たちが、自分より知的レベルの低い人たちをだまくらかして、
社会を悪くしていることでしょう」
ときたもんだ。ひょお~。
論理的にも、テレビの罪にグイグイ切り込んでいる。
東京一極集中の害悪、若者重視・高齢者軽視の愚、認知的複雑性の
欠如などなど、共感する点も多い。
認知的複雑性とは、物事を白か黒かという二分割思考ではなく、
その間にグレーがあり、そのグレーにもいろいろあるという考え方を
身につけることで、健全な精神発達上、欠かせないことなんだそうだ。
それをテレビは大きく阻害しているということ。
最後に、唯一ナットクできなかったことがあって。
「笑いのレベルが低すぎる」という内容の中で、老若男女に受け入れ
られる橋田壽賀子ドラマを激賞している。
なんで?
面白く観てる人にケチつける気は毛頭ないが、オレは絶対観ない。
そこだけ価値観の違いがあったので★四つにとどまった。
でも、オレとしては、今年の新書ベスト3に入るかも。
2010.11.27:ycci
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