天地人
▼やっぱウマイ
先週、米沢牛のセリを見学した影響かどうか、
牛肉を、それも「米沢牛」を無性に食いたくなって…。
そしたら、ちょうど良いタイミングで、土曜日に
市内某肉屋さんでの飲み会があった。
飲み会自体は一人が泥酔してハチャメチャだったが、
オレは委細かまわず肉へ集中。
久しぶりのシャブシャブ、やっぱ米沢牛はウマイ。
家人に「油モノ」や「肉類」「炭水化物」の摂取を厳しく
制限されているのだが、肝心の現場には殆ど「監視人」はいない
のだから全く意に介さず、へのカッパ。
油を摂るなって言われても、肉はアブラがウマイのよおぅ。
ふわっははは〜だ。
File No.191
『悪名の棺 笹川良一伝』工藤美代子(幻冬舎 1700円)
オススメ度★★★☆☆
エコポイントのお陰で最近はリッチにハードカバーの単行本を
買って読んでいる。
実は、家族にナイショでエコポイントの殆どを図書カードに
換えた。幸いなことに今もって気付かれていない。
ハードカバーは立派でいいんだが、少々機動性に欠ける。
オレみたいに色んなところで読むタイプには、ちょいと不便
かも知れないなあ。
まあ、そんなことはどうでもいいけど、肝心のこの本について。
「笹川良一」という名前は、多くの人が聞き覚えがあるのでは。
そしてその人物イメージは、著者も書いているように、
「ファシスト」「日本の黒幕」「ギャンブルの胴元」「日本のドン」
「戦後のフィクサー」などなど、いわゆる「悪名」が多いのでは
ないだろうか。
かく言うオレも、この本を読むまではそういうイメージを持っていた。
著者は、そういう「悪名の棺」を再び開いて、本当に悪名なのか
どうか、笹川の人間実像を風聞に捉われず描き出そうとしている。
笹川は確かに戦前戦中は国粋主義者の旗色を鮮明にしていたが、
戦後は、巣鴨拘置所(戦犯を収容)での死刑囚やその遺族援助を
はじめ、戦争犠牲者とその留守家族への支援活動、さらには
ハンセン病患者の救済と撲滅運動に自らの身命を賭して取り組んで
いる。
その原資は、株や商品取引で儲けたポケットマネーや、モーター
ボート競走開催によって得た交付金だった。
この本で残念に思ったのは、株や商品取引で儲けた金、としか
言及していないこと。
笹川は戦前にすでに巨万の富を築いているが、いかなる方法に
拠ったのか、具体的な言及はあまりない。
ノンフィクションとして飽き足らなさを感じる。
興味深いのは、笹川が艶福家であり、家の中ではたいへんな吝嗇家
だったこと。
艶福家ということは広く知れ渡っていることだが、東京の妻、
西の正妻、唯一子どもを産んだ女性、そして晩年の山科の女と
女性遍歴は枚挙に暇がない。
一説によると、関係した女性の名が短冊で掲げてあって、その
数が70に達したという。もちろん、その道の「プロ」は除いて。
笹川の圧倒的なパワーの源泉のひとつは「女」だった。
別にいやらしくもなんともない。
事を成す男はそれぐらいの雄々しさがなけりゃあ。
風呂の水は必ず半分までしか入れない、という吝嗇ぶりも
リアルで悪くない。
家の中では極端に吝嗇な男が、外では福祉事業や救済事業に
巨万の金を惜しげもなく遣うというのは、やはりケタはずれの
男である。
しかし、数いた女性の中で、唯一、笹川の子ども三人を産んで
育てた喜代子とその子どもたちに対する冷たさというか、無関心
さというか、突き放し方には首をひねってしまう。
いくら大事を成さねばならぬ男とは言え、あんまりだなあ。
オレが今の時代に生きてるからそう感じるのかなあ。
この本は笹川の悪名を多少なりとも注ぐ意図が感じられるが、
それは充分に果たされているだろうか。
少しばかり笹川へのシンパシーに振れているような気がする
のだが…。
2010.11.21:ycci
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