天地人

▼マイブーム返上!?

数年前から「果実酒」に少し興味を持ち始めて…。
昨年は、梅・ナツメ・花梨・杏などを仕込んで
一人悦に入ってたりして。
仕込んだはいいけど、ほとんど飲んでない。
というか、その存在さえ忘れてしまっている自分に
今更ながら気がつく始末。
気がつかせてくれたのは、今週某日某飲み屋にて
お隣の方と雑談に興じていた時のこと。
話が果実酒や茸酒に及んだらガゼン盛り上がって、
お隣の方、ナント、奥さんに○○酒と○○酒を自宅から
持ってこさせる挙にでた。
ゆうに2リットル以上はある容器がデーンとカウンター
に置かれ、その迫力に思わず「参りました!」。
熱燗で相当いい気分になってたところへ、飲み口の良い
○○酒ときたもんだから、帰宅した頃には酩酊一歩前。
酔眼をこすると、チマチマしたオレの不肖の「作品」たちが
ホコリの中からうらめしげにニラんでいる。
「オマエに果実酒を楽しむ心のゆとりなんかあるのか?」と
言わんばかりに。
ひえぇ〜。
こりゃあ、マイブーム返上だわ。

File No.189
『歴史街道 2010年12月号』(PHP研究所 630円)
オススメ度★★☆☆☆

この月刊誌、興味ある特集が組んであったりするとたまに買う。
今号の第1特集は「龍馬暗殺」。
NHK大河ドラマ「龍馬伝」もいよいよクライマックスへ。
ここ数回、茶の間のスミに身を縮め、息を潜めながら見させて
いただいているが、周りが「武力討幕」へと流れる中、
孤立し、命を狙われる立場に追い込まれる龍馬の姿が
よく描き出されている、と思った。
龍馬が京都の近江屋(醤油商)で凶刃にたおれたのは、今から
143年前、1867年11月15日(旧暦)のこと。
奇しくも、この日は龍馬の33歳の誕生日。
旧暦と新暦の違いはあるが、来週月曜日が龍馬の命日(=誕生日)
ということになる。
暗殺者は京都見廻組説が最も有力とされているが、確たる
裏付けがないままに、幕末最大級のナゾのまま今に至っている。
この本では、歴史作家や研究家などが、巷間伝えられている
諸説の真偽や背景などを検証・推理しながら、真犯人解明への
アプローチを試みている。
諸説の中には中岡慎太郎説というのもあって、ちょっと
おどろいた。
中岡慎太郎はご存知のとおり、龍馬とともに惨殺された一人。
確かに、中岡は強硬な武力討幕派で、非暴力の公議政体派の
龍馬とは対立もあったようだ。
でも、執筆者の一人も書いているように、龍馬と中岡が
互いに斬り合って、(時間差はあれど)双方が死んだなんて、
ちょっとムリがあるような気がする。
菊屋の息子・峰吉も相当クサい。
峰吉がたまたま夕食用の軍鶏(シャモ)を買いに出た20〜
30分の間に凶行が起きたのだから、余りにもタイミング
が良すぎるというもの。
何よりも心を薄ら寒くさせるのは、黒幕説。
武力討幕を推し進める薩摩藩にとって龍馬の存在が邪魔に
なったとか、後藤象二郎(土佐藩参政)が手柄を独り占めに
したくなったとか、という説もまことしやかに思えて
きてしまう。
いずれにしても、時間がたちすぎてしまった。
ナゾがナゾを呼んで、闇は深まるばかり。
何だか、闇を深めてしまうのは、後世の人(オレたちも含めて)
の心でもあるように思うのだが…。

蛇足ながら…。
司馬遼太郎の『竜馬がゆく』では、最後の暗殺シーンを余り
詳述していない。
著者自身も書いているように、幕末という激動の時代に、
まるで天が遣わしたかのような稀代の男が、卑劣な凶刃に
たおれてしまったことへの激しい憤りと、心からの無念さに
うち震えるような思いだったらしい。
書いているペン先が怒りで震えているような感覚が、文章を
通じて読み手に伝わってくるようだった。




2010.11.13:ycci

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