天地人

▼ちょっと苦い酒

11月3日文化の日。
予報どおりの雨模様。
ツールドラフランスの日だったけどザンネン。
オレが出られないと天気も味方しないのか(ナンチャッテ)。
でも、わがチームメイトはさすがしたたか。
目的地を急遽、東北地方で唯一晴れてそうな南部太平洋側に
変更して、爽やかな輪行をしてきたとのこと。
そんで、夜は今シーズンの事実上の納会。
青空の下、揃いのユニフォームで満面の笑顔で写ってる
写真を見せつけられた。
そこには当然オレの姿はない。
「この写真、年賀状に使おうっと」という言葉が
悔しさをさらに増進させ、ちょっと苦い酒になった。
くそお〜、このままでは終われん!

File No.187
『自転車ツーキニストの作法』疋田 智(ソフトバンク新書 760円)
オススメ度★★★☆☆

本屋に行って「自転車…」という背表紙に無条件で反応
してしまう今日この頃。
この本も、無条件反応で買った。
「ツーキニスト」というのは、通勤者という意味の著者の造語。
したがって、「自転車ツーキニスト」とは、「自転車通勤者」
のことを言う。
この著者、筋金入りの「自転車ツーキニスト」のようだ。
まずは、文体の奇抜さというか柔軟さに感心する。
肩肘張って本を読むというのはちょっと苦手かなあ、という
人でも、この本なら苦なく読めるんじゃないかな。
そして、「初心者以上マニア未満向け」という内容も、
今のオレにはピッタリかも。
「自転車は車道を左側通行」という大原則を厳守すべし、という
しつこいぐらいの主張には、オレもいちいちうなずける。
歩行者専用の歩道を歩いていて、後ろから来る自転車に
「そこどけ!」と言わんばかりにチリンチリンと鳴らされることに
ムカつくのはオレばかりじゃないだろう。
歩行者専用の歩道を我が物顔で走る自転車の方が違反!なんである。
かつては銀輪都市とさえ言われたこの米沢も、自転車乗りの
マナーは決して良いとは言えないなあ。
右側通行や傘さし、並列、携帯ながら、無灯火などなど
無法で無茶な乗り方が目に付く。
こうした無作法を戒めてもいる著者にまずは拍手をおくりたい。
自転車を愛する者として、そのルールを守るということは
基本中の基本だと、オレは思う。
ルールを守ってても事故が起きるんだから、ルール違反者は
なにをか言わん。
全編を通じて軽いノリで書いているように思われるが、言ってる
ことは至極まっとうなことなのだ。
最後のほうに出てくる言葉なんて、まさに自転車乗りの大義を
的確に言い表している。
「我々に求められている道は、今こそ『20世紀的な拡大路線』を
自省し、あらゆるものを『持続可能で身分相応のもの』にする
という道だろう。『環境問題』だけでなく『経済問題』に
関しても同じなのだ」
そして、
「私は、とりあえず自転車にでも乗っているしかないと思って
いる。環境にもいいし、健康にもいい。何よりも等身大の人間の
生きる道を教えてくれるところがいい」
とも。
そう、自転車は、自分の力以上でもないし、以下でもない、
分相応の等身大の自分なのだ。
そこんとこがわからないと、自転車を「チャリンコ」とか
「チャリ」とか蔑んで憚らないんだろうなあ。
エラそうなゴタクならべてるオレ自身も数年前はそうだった
んだから「ジャガー・チェンジ」もいいとこ。
さらにダジャレを重ねると、
「ユー・チャイルド・ジャガー・チェンジ」ってがあ。
(君子、豹変す)

2010.11.06:ycci

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