天地人
▼何と言っても炭水化物
輪行シーズンもいよいよ終盤戦になってきた。
結婚式のため11月3日のツールド・ラフランスに
エントリーできないオレとしては、さしたる盛り上がりもなく
シーズンが終わるのもちょいとさびしい。
で、時間を見つけては、ちょこちょこ輪行に出てるこのごろ。
昨日の早朝も、曇天ながら降雨の心配なしと勝手に判断して
スタート。
15kmを過ぎたあたりから予期せぬポツポツがきた。
「やばっ」とばかりにUターンして速力をあげて帰路についたは
いいが、10分ぐらいでヘタってきた。
ガマンして漕ぐのだが、なんかガス欠のようなヘタり方で
ついに降車。
アミノ・サプリをガブ飲みして再スタートするも、いくらも
走らないうちにもうヘタリ。
なぜなんだろう?って考えると、朝何にも食べないで出てきた
ことが原因だと気付きはじめる。
いつもは、たいていオニギリをひとつ食ってから出るのだが、
昨日はあわててたせいか、何も口にしていない。
やっぱ、何と言っても炭水化物はエネルギーの元なんだなあって
つくづく思い知らされた。
File No.179
『異形の日本人』上原善広(新潮新書 680円)
オススメ度★★★★☆
先月、新聞の新刊広告をみた時から読んでみたいと思っていた。
何しろ、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した『日本の路地
を旅する』のあとに上梓された最新刊なので、注目の的でも
ある。
この本も、そういう期待を裏切らず、面白かった。
世の中がタブー視し、封印してきた様々な「異形の日本人」
たちを追跡し、そこに隠されてきた本質的なものを
あぶりだしていこうとする試みでもあり、たいへんチャレンジング
なノンフィクション作品に仕上がっていると思う。
ここに登場するのは6人(組)の「異形」たち。
鹿児島のターザン姉妹、劇画家平田弘史、やり投げの記録保持者
溝口和洋、筋萎縮症の西本有希、炎のストリッパー・ヨーコ、
浪速の落語家初代桂春團治。
いずれも、わけあって世間から封印されてきた人ばかり。
でも何で春團治も?
「浪花恋しぐれ」のモデルにもなり、将棋の阪田三吉とならんで
浪速を代表する有名人である彼がなぜ「異形」?
と思いつつ読んでいくと、ナルホド、そういうことだったのか。
前にも何かで読んだことがあるが、春團治の生き様伝説は
凄まじいの一言に尽きる。
女遊び(狂い)もここまでくれば凄味さえ感じる。
そして、何よりもすごく人間くさい。
喜怒哀楽をこれほど直線的に放つ男も珍しい。
だからこそ伝説になったんだろうが、当時周りにいた人たちは
さぞたいへんなことだったろう。
これだけ人気者の超売れっ子芸人が、稼いだ金を女や遊びに
蕩尽し、所属先の吉本に莫大な借金を残したまま亡くなって
しまう。
そして、その末期や死後の供養のされ方も、生き方の派手さと
比べると、あまりにも寂しいというか、哀れでもある。
こういうマイノリティと言ってもいい人間たちの生き様に
歩みを寄せて行こうとする上原善広のノンフィクションは、
ちょいと一味違う。
2010.10.10:ycci
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