天地人

▼みんなで支える

上杉まつりも桜とともに無事盛況のうちに終った
翌4日早朝、なぜか目が覚めた。
いつもだと、前日までの疲れと泥酔でまともに起きられないのに、
なぜなんだろう…?
爆睡するのも体力が要るそうだから、やはり加齢現象なのか…。
で、前日までの「夢の跡」を確かめてみることにして、いざ自転車で。
イテテッ、やっぱカラダは正直だ。
堤防から河川敷を見渡すと、何人かの方々がゴミ拾いしてる。
休日の早朝6時。頭が下がる。
ちょっと離れたところでは、おばあちゃんが一人でゴミ拾い。
他のグループとは関係なく、たった一人の日常のボランティアのようだ。
そう、おまつりや地域イベントは、こういう人々に支えられているという
ことを、ゆめゆめ忘れてはならない。
華やかな舞台の陰で、ひっそりとそれぞれの分に応じた協力をして下さって
いるのである。
米沢は、こうした地域コミュニティのモラルが高く、それが大きな美質の
ひとつだと、常々オレは誇りに思っている。
わが世の春のごとく盛り上がるのは元気が出て大いに歓迎だが、
思い上がり過ぎてはいけないんだな。

File No.139
『地球環境報告U』石 弘之(岩波新書 740円)
オススメ度★★★★☆

この本、ある大学の売店で衝動買いしたものだが、読んでみて
大正解、久々の四つ星評価。
良かった点は、著者自ら実際に見聞したことを基本にしながら、
具体的な数字を豊富に引用して、「地球環境の危機的状況」を
つぶさにリポートしていること。
しかも、著者が実際に現地に足を運んでること、しかも10年・
20年というスパンでその変化を自分の目で確かめていることが、
読む側にリアル感を与えている。
例えば、家畜の過放牧が原因といわれる「砂漠化」。
アフリカ・中東・中央アジアなどでは、人口が増加していくに
ともなって、生活上の必要性から、家畜を多く飼うことになる。
その増えすぎた家畜が、草木を食いつくし、土を根付かせている
植生が失われ、砂漠化が進んでいるらしい。
また、水不足も深刻だ。
中国の黄河は、灌漑用水の引水によって水量が激減してしまって
おり、代替の地下水も枯渇しているところが多いらしい。
世界各地の水不足は、森林伐採による保水力低下や、農地開拓に
よる灌漑用水の過引水にあるということ。
一方、海洋環境の破壊も進んでいる。
南洋のきれいな海というと、サンゴ礁をすぐイメージする。
このサンゴ礁も、全世界のおよそ3割がすでに絶滅しているか、
絶滅に瀕している「高程度」の危機にある。
サンゴ礁は、「海の熱帯林」と呼ばれるほど、生態系の要となって
いるので、その大規模な絶滅危機が、他の生物に与える影響も
甚大だ。
ある地域におけるサンゴ礁絶滅の主因となったのが、毒物や
爆薬による漁獲というからオドロキだ。
熱帯魚などは、青酸化合物で気絶させて一網打尽に捕獲して
いるそうだ。
そして、その輸出お得意先は日本だというから、いやはや…。

いずれのケースも、かなりリアルに深刻に響いてくる。
人類の未来への警鐘という悠長さを通り越して、「いま、ここに
あそこにある危機」をオレ達に見せ付けてくれる。
著者は、水や海洋、森林など人間生活の基本を支える自然資源(環境)
危機のヤマは2020年ごろにやってくるのではないかと予想
している。
となると、あと10年後…?
「時すでに遅し」と思うことなかれ。
冒頭でも書いたように、一人ひとりが、驕ることなく、環境改善の
意識を持ち、ささやかながらも分に応じた改善努力をし続け、互いに
支えあっていくことこそ、人間の尊い営みなのだ、とオレは思いたい。

2010.05.05:ycci

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