天地人

▼衆愚が国を滅ぼす!?

プロ野球セリーグ開幕3連戦は、昨年の覇者ジャイアンツが
スワローズに負け越した。
スロースターターはいつものことながら、熱烈G党としては
あまり面白くない。
とは言っても、テレビの中継は殆ど観れなかった。
以前のように、何とか都合つけて観るということもしなくなった。
それだけ、スリリングでなくなったのかも知れない。
昨日の日曜日は首・肩が痛くてそれどこじゃあなかった。
1時間のマッサージを受けて、ほんの少しラクになったような
気がしたが、今朝になったらまた元の木阿弥。
オレにもいよいよ襲ってきたか、○○肩が…。

File No.133
『衆愚の時代』楡 周平(新潮新書 680円)
オススメ度★★☆☆☆

楡周平というと真っ先に思い出すのが処女作にしてベストセラー
になった『Cの福音』。
確か「C」とはコカインのことで、その密輸に手を染めていく
男の物語だったように記憶しているが、詳しいストーリーや内容
はあまり良く憶えていない。
読んだ本の内容を長く憶えていられない、というのは今に始まった
ことではないけど、そういう経験をするたびに少し自己嫌悪に
陥ってしまう。
時間かけて金かけて読んだ本を忘れてしまうなんて…。
でも四つ★や五つ★クラスの本は、さすがに記憶に残っている。
ということは、読んでる時は相応に面白かったけど、心の奥底
までは響かなかったということ?
まあ、精神衛生上そういうことにしておこうっと。

で、この本は、テレビを中心としたマスコミの空論やタテマエ論
などによって、「衆愚」と化した国民への警鐘とでも言うべきか。
面白かったところを少し拾ってみる。
まずひとつは、「2:6:2の法則」って聞いたことあるでしょ。
どこの組織でも、役に立つ「人財」が2割、普通の「人材」が6割、
そして、役に立たない「人罪」もしくは「人在」が2割という、
誰が考えたかわからない法則のこと。
よく、労務や人事のセミナーなんかで出てくるよね。
そして、それを聞いてきた奴が、自社や他のところで、シタリ顔で
同じことを講釈してたりする。
でも、この本では、それは相対評価だから当たり前のことと指摘する。
5段階で相対評価をすれば、それぞれに一定の割合で分布させるのは
当然のこと。
「困ったちゃん」が会社からいなくなっても、また次の「困ったちゃん」
が現れるというのは、相対評価の中では必然的なことかもしれない。
ふたつめは、著者が提唱する「プラチナ・タウン」構想。
これは、地方都市に巨大現役引退者住宅施設を建設し、アミューズメント
機能を充実させ、ケアを集中させてコストを下げ、楽しく豊かな
老後をおくってもうらおうというもの。
アミューズメントと言っても、これまでのような、如何にも年寄りっぽい
ものではなく、アクティヴで刺激的なものだ。
理想論かもしれないが、オレは面白そうで、賛成だ。
オレがそういうところへ入居したら、天気のいい日はサイクリング、
雨雪の日は本を読んだり映画を観たり、1週間に1回ぐらいは麻雀で
熱くなり、1週間に1〜2回はおばあちゃんたちと王様ゲームで
目尻を下げ…、なあ〜んて空想してみたりして。
楽しいじゃんか、そういうのって。
そのほか、「若いパワー」だけが是ではなく、使える老人もいれば、
使えない若者もいるということとか、新人議員の修行中は給料半分で
いいんじゃあないかとか、「そうだよなっ」ていうホンネがちり
ばめられている。
この本に書かれている8割には賛同または納得、または共感することが
できる。
でも、あとの2割は、ん〜、オレはそうは思わない、とか、そんなこと
書くまでのことじゃない、と思う部分。
で、評価は少々厳しい二つ★。
新書大賞のベスト5に食い込むのはちょいと難しいかな、ってオレは
思う。


2010.03.29:ycci

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