天地人
▼謙虚に生きるべし
プロ野球も開幕したことだし、オレも今日こそは
シーズン開幕日と思って、昨日からタイヤに空気詰め、
車体?のホコリをふき取って、満を持していた。
まあ、午前中はちょっと寒いから午後の温暖な時間帯を
狙っていたのだが、あれれ…、雪!?
ふう〜、シーズンインは1週間持ち越し。
今年の春はなんだかフンギリ悪いよなあ〜。
File No.132
『ダーウィンの夢』渡辺政隆(光文社新書 740円)
オススメ度★★★☆☆
昨年は、進化論の祖・ダーウィンの生誕200年、その主著
『種の起源』出版150年の記念すべき年だったらしい。
えっ?、じゃあ、ダーウィンって、日本で言えば江戸時代末期の人?
そんな前にビーグル号で世界航海し、進化論を提唱するなんて、
やっぱ英国の「知」というのは世界最先端だったんだなあ。
で、この本は、記念すべき年に、ダーウィンの進化論を、それ
以降の発見・学説等で補足・補完しながら、一般人にもわかり
やすく物語風に解説したもの。
この進化論物語は、カナダのバージェス頁岩層から始まる。
ここには、世にも奇妙奇天烈な形状をしたバーチェス動物群と
呼ばれるカンブリア紀中期(およそ5億500万年前)の生き物の
化石がぞくぞくと見つかる、生物学者らのいわば「聖地」のような
ところらしい(今まで聞いたこともないし、もちろん行ったことも
ないが)。
余りにも奇妙すぎるゆえ「バーチェス・モンスター」とも呼ばれる
彼らが、ヒトを含めた今の地球上の生き物の原型種であろう、という
のだからオドロキだ。
さらに、この頃(およそ5億年前)には、現在の地球に生息する
生物を構成する遺伝子がほぼ出揃っていたというのだから、
ちょっとビックリ。
著者は、ここを起点に、地球上に生命体が生まれ、それが海に生息
し、陸に上がり、二足歩行や空へと進化する壮大な劇のエッセンス
を『種の起源』を引用しながら、きわめて興味深くみせてくれる。
地球上の生命起源説について著者は三説あげている。
雷による放電説、熱水噴出孔説、そして宇宙からの飛来説。
最後の宇宙からの飛来説というのは、地球に衝突した隕石の中に
生命の源となるものが含まれていたというもの。
じゃあ、もしかしたら、オレたちは宇宙のどこからかやってきた
というワケ?
そういえば、前に読んだ物理学者の本にもそんなことが書いてあった。
もうひとつ。
進化というのは、決して直線的な1本道ではないということ。
一つの起源から無数に枝分かれして、その大部分が絶滅しながらも、
気の遠くなるような進化を経て、今の生物系がある。
例えば、小中学校で習ったネアンデルタール人とかクロマニョン人
というのは、まぎれもなく現人類の祖先だと今の今まで思って
いたが、直系祖先ではなく、言わば縁戚祖先のようなものらしい。
ホモサピエンスはアフリカ一ヵ所で進化した新人類であるというのだ。
もうひとつ例をあげると、チンパンジーは人類の祖先のように
思われがちだけど、これもある時期に同一祖先から枝分かれした
遠い親戚のようなものらしい。
しかも、ヒトとチンパンジーのゲノム(遺伝情報)の一致度は
98.77%。
ヒトとチンパンジーが同じ祖先から分かれた700万年間に
生じた遺伝的な違いは、わずか1.33%しかないということ!
ダーウィンは、進化には方向性や意志がなく、運命あるのみと
言っている。
「われわれはどこから来て、どこに行くのか」という未来永劫
にわたる命題に対するダーウィンの答えは、
「ヒトはすべての生きものと同じ祖先から来て、どこへ行くとも
知れない」というもの。
こうした生物の壮大な進化の歴史劇の中で、われわれは謙虚に
ならざるを得ない。
2010.03.28:ycci
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