天地人
▼米沢からノーベル賞も夢じゃない!?
山形・米沢は有機ELバレー構想で一躍有名になった。
その中心人物が山形大学の城戸教授。
このセンセイ、オレと同い年。
しかも、大学入学前や入学後の生活にも何だか同時代性
というか、共感を覚えるなあ。
もっとも、その後が天と地。
かたや世界の城戸、こちとらいまだウダツが上がらず…。
(謙遜だぞって強がりもやや空しいかな)
File No.97
『日本のエジソン 城戸淳二の発想』
城戸淳二(KKベストセラーズ 1200円)
オススメ度★★★☆☆
まがりなりにも米沢に住んで、産業経済という分野の片隅に
逼塞している身としては、城戸センセイの本の1冊や2冊は
読んでおかんと話にならん、と思い、遅ればせながら手に
とった次第。
センセイの話は2、3回聴いたことがある(もちろん、その他
大勢の聴衆の一人として)が、関西特有のコテコテしたところ
は余り感じられなく、どちらかと言うと、謙虚さが印象的だった。
しかし、この本はうって変わって、舌鋒スルドすぎ。
研究のこと、大学組織のこと、日本の科学技術のこと、地方の
こと、未来のこと、自分のたどって来た足跡のこと…などなど、
痛快なまでに直截的であり、明快である。
社会に貢献しないような研究をしている大学教官を「牛乳瓶の
フタ集め」と呼んだり、助教授時代に「FA宣言」をしたり、
「政治家にはポリシーがなく、役人にはビジョンがない」と
喝破したりと、城戸節全開ってカンジ。
理系の人の本で、これほど痛快に読める本もめったにない。
でも、痛快・愉快な中にも、思わず唸るような真理がちり
ばめられている。
いくつも共感できる部分があったが、中でも、「引き出しの
多い奴は負けない」というのは傾聴すべきこと。
専門ばかりに特化するのではなく、ある課題や問題に対して
複数の違うアプローチが出来る人間が、結局はゴールを切る
ということ。
これは、理系だろうが文系だろうが、同じこと。
それと、「人生一度ぐらい死に物狂いで力を試せ」という
熱きエール。
さらに、「学生は教官の鏡」という至言。
オレなんか今まで言いたくても言えなかったことをズバリ。
最後に、「白色有機ELの分野でミリオネア(億万長者)が
生まれるか?」という問いに対して、センセイは「可能性
は十分ある!」と断言している。
ちょっと穿ってみると、ノーベル賞も全くの夢でもないのかも
しれない。
蛇足ながら…。
城戸センセイは、発明王エジソンと同じ2月11日生まれ。
エジソンの発明は「世界から夜が消えた」と言われた。
かたやオレは4月20日生まれ。
同じ月日に生まれた有名人は、な、なんとアドルフ・ヒトラー!
世界を「夜と霧」の闇にした男。
うむ〜、エジソンとヒトラーか。
こりゃ、やっぱ勝ち目はないなあ。
2009.12.15:ycci
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