天地人

▼志ん生の世界にどっぷり

最近、落語を生で聞く機会がないですねえ。
以前は良く行ったんです。映画より、コンサートより、演劇より
落語が面白かった時代が私にもありまして…。
こうして志ん生の本を読んでいると、なんだか、あの頃の感覚が
戻ってくるような気がしました。

File No.37,38,39
『なめくじ艦隊』古今亭志ん生(ちくま文庫 660円)
『びんぼう自慢』古今亭志ん生(ちくま文庫 880円)
志ん生で味わう江戸情緒B
『江戸の旅と交通「道中」がわかる』凡平(技術評論社 1880円)
オススメ度★★★☆☆

『なめくじ艦隊』と『びんぼう自慢』は、昭和を代表する名落語家
と言われた五代目古今亭志ん生が自ら語る半生記です。
ここに書かれているエピソードの数々は、まさに、スゴイ!オドロキ!
オモシロイ!ジーンとする!の連続です。
なんで「なめくじ」?
それは、志ん生が「なめくじ」の這う長屋に住んでいたからなのです。
「なめくじ」がさながら艦隊のように這いまくっている長屋って!?
志ん生55歳の時に、終戦数ヶ月前に満州に渡るんです。
その理由が「酒がたっぷり飲める」というウワサを信じたから。
ところが、終戦前後の大混乱に巻き込まれ、たいへんな目に遭うんです。
その中には、人の情けにホロっとするエピソードも混ざってます。
そんな生死をさまようような体験をしたり、びんぼうを極めたり、
放蕩の限りを尽くしたり、人情の機微にふれたり、波乱万丈の前半生
を送っているからこそ、志ん生晩年の落語には、「味」があるんです
ねえ。ハンパじゃないですよ。
そうこうしているうちに、無性に志ん生の落語が聞きたくなって
買ったのが3冊目の本。これCD付なんです。
中味もさることながら、志ん生の落語CDも久々に聴いて良かったです
よお。「大山詣り」なんか絶品ですね。
ああ、できることなら志ん生を生で聴きたかった!
亡くなったのは昭和48年ですから、私が落語を解せる歳だったか
どうかはビミョーではありますが…。
2009.04.18:ycci

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