天地人

▼今さらながら「科学の進歩ってスゴイ!」

4月9日付の読売新聞社会面に、
「iPS細胞特許 2社に供与 京大設立の会社、初の契約」
という見出しの記事が載っていました。
iPS細胞ってナニ?
そう言えば、ちょっと前に衝動買いした本が…、と思って
探したら、ありましたよ。さっそく読んでみたら、
「へえ〜、現代の科学ってこんなに進んでいるのか!」って
感心させられました。

File No.35
『iPS細胞-世紀の発見が医療を変える-』八代嘉美
(平凡社新書 660円)
オススメ度 ★★★☆☆

はじめての4つ★かと思ったぐらいの内容でしたよ、この本。
とかく専門用語の羅列で難しくなりがちな生物学系の本が多い中
(大体このテの本の前書きには「一般の人にもわかりやすく…」と
書いているが、内容はわかりにくいことが多い)、ホントにわかり
やすかったです。
専門用語も多く出てきますが、懇切丁寧に解説してます。
さて、iPS細胞とは?
正式な日本語で言うと「人工多能性幹細胞」。
もっとわかりやすく言うと、「大人の人間の細胞を原料に、いろんな
細胞になれる細胞をつくることができた」と本書の前書きにあります。
これは京都大学再生医科学研究所の山中教授が研究、発表された
もので、21世紀の医療を劇的に変える発見だと注目されている
ようです。
つまり、人間の身体のいろんなパーツの不都合・不具合を、自らの
細胞の多能性で再生させられる(可能性がある)ということです。
死因の多くを占める三大疾患(ガン・心筋梗塞・脳梗塞)の治療も
根本から大きく前進し、人間の寿命はさらに延びるのでは、と。
しかし、そうはトントン拍子にいきません。
iPS細胞の臨床応用に至るまでには、基礎的・応用技術的・倫理的
課題が多くあることも筆者はよく説明しています。
今や、世界各国がiPS細胞の再生医療応用にシノギを削っていることも。
日本の、世界の科学研究の最先端を垣間見る、という点では
たいへん興味深い一冊です。
もうひとつオドロクべきことは、この本の筆者はまだ30代前半の
大学院生であること。
こういう「知性」が育っているということは、日本の未来は決して
暗くはないハズです。
「それでも何で4つ★じゃないんだ?」と思われるかもしれませんが、
それは何と言うか、ド素人が玄人の世界をのぞき見するような引け目
みたいなもんがありまして、ちょっと今回は遠慮させていただいたん
でアリマス、ハイ。
2009.04.11:ycci

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