天地人
▼ン十年ぶりによみがえる感動
先日、友人・知人らと山小屋やツリーハウスの話で盛り上がり
まして。子供のころ、ダンボールの家を作って遊んでいたころの
習性とかわっていないんだなあって妙に感心してしまいました。
男子って、なんかそういうサバイバルやアドベンチャーに憧れる
ものなのかもしれません。
そういう子供たちをとりこにしたのが『十五少年漂流記』です。
私も胸躍らせた一人でした。
File No.29
「『十五少年漂流記』への旅」椎名 誠 新潮選書(1000円)
オススメ度 ★★★☆☆
作家椎名誠の原点となったヴェルヌの小説『十五少年漂流記』の
舞台となった島を訪ねる旅行記です。旅行記と言っても、ミニ
アエドベンチャーのような趣があります。
モデルとなった島は、定説では南米パタゴニアのマゼラン海峡に
あるハノーバー島だと言われていました。
作者は機会を得て、永年の念願だった同島に旅立ちます。
旅と言っても、南米の南端の方ですから、もうちょっとした
冒険ですね。行き先々の人や風景、風土、食べ物などが実体験
でリアルに書かれていますから、これがなかなか面白いのです。
話は時々、作者が世界中を探検・探訪した時の見聞に及びますから、
さらに面白さが広がります。
なかでも、作者が世界中で最も好きな街であるというチリのプンタ・
アレーナスには私もほんとうに行ってみたいという気になりました。
(多分ムリでしょうけど…)
さて、物語の本当の舞台は、実はまったく別のところにあったの
です。そのワケや背景が、この本のミソでもあります。
まあ、読んでのお楽しみです。
作者は最後に、この『十五少年漂流記』が世界中の少年たちに熱く
愛読されたのは「視覚の差異と思考の問題」にあると言ってます。
つまり、「知らない世界を目の前にしたとき、価値観は変わり、
それら未知のものに対応していくたびに思考が広がり、深くなって
いく」ということ。
そう、こういう旅や冒険の経験をしないと、男は深く広くなって
いかないのです。また、一人旅や冒険って、すごくパワーのいる
ことなんです。
そんな旅、長いことしてないなあ〜。
今年こそ…。
2009.03.28:ycci
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