天地人
▼なつかしいけど初めて!?
何年前になるでしょうか、TVドラマ「高校教師」が
一世を風靡したのは。なつかしいですよね、アノ切ない
感覚。あのドラマの脚本家が野島伸司。
TVドラマなんてほとんど観なくなって久しいので、
彼のその後の活躍はあまり知らないのですが、今日
はじめて本を読んで、脚本もいいけど、ストーリー
テラーとしてもさえてるなあって思いました。
File No.21
『スコットランドヤード・ゲーム』野島伸司(小学館文庫 600円)
オススメ度 ★★☆☆☆
この本の題名になったスコットランドヤードっていうのは、たしか
イギリスの警察のことだったのでは、とウロ覚えの記憶がありましたが、
警察が怪盗を追い詰めるボードゲームだったとは知りませんでした。
バックギャモンは良く知ってましたが。
このゲームのルールにならって、24のターンで男と女が寄り添う
ようになる趣向になっています。
最初のうちは、「なんか女子中学生向けってカンジ」でしたが、
中盤からやや後半にかけて、「エッ〜、ウッソ〜」っていうような
予想もつかなかった急展開が待っていて、物語はメインテーマに
向けて、まっすぐと、そして急速に進んでいくのです。
それは、「別れても、離れても、死が引き裂いでも、相手の幸福を
祈る。そこには嫉妬も執着も束縛も、苦しみも悲しみも、ましてや
憎しみなど、微塵もない」というクッキーこと夏彦のセリフに
集約されています。心の呪縛を解き放ってくれる物語なのです。
でも、この急展開を最初から予感していた読者がいるとすれば、
そのセンスやカンに自身持っていいと思いますよ。
セリフのテンポもいいですねえ。さすが脚本家。
私なんか、少しカッタルく感じてしまうところもあるんですが、
それは歳のせいでしょう、たぶん。
「若い」ことだけに羨望する気持ちはさらさらないのですが、
私とそう大差ない年齢の作者が、これだけのみずみずしい
ストーリーを描けることには、素直に脱帽!
2009.03.11:ycci
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