ブルックリンは、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市にあり、歴史的建造物も多い工業地帯。ブルックリンスタイルは、そこで普通に見られる街並みや暮らしそのものをいう。
日本でも、セレクトショップやカフェなどに取り入れられ、大人っぽいビンテージ感ある雰囲気がとても人気があります。そのお洒落な感覚が、近年、住宅にも取り入れられ独自のスタイルとして人気が高まってきました。また住宅だけではなく、インテリアや家具、ラグマットやカーテンなどの布類、照明、テーブル、椅子、キッチン用品など、幅広いグッズがあり、住宅との統一性も図れています。さらに、ファッションにもブルックリンスタイルがあり、若い年齢層だけではなく、30代〜50代の方にもとても人気のあるスタイルとして注目されています。
東北を中心に店舗や住宅のリノベーションに定評があり、株式会社ニ出版社から創刊されているアメリカンカルチャーをコンセプトとした人気雑誌「lightning」でも紹介されている有限会社櫻本塗装店 櫻一styleの社長 櫻本真一さんを訪ねてみました。
毎年、海外にデザインやリノベーションのヒントになるものを学びに出かけていますが、2013年、当時人気のあったインダストリアルという無機質な工業系デザインを、現地へ学びに行きました。そこで出会ったのが、ニューヨークはブルックリン地方の、いわゆるブルックリンスタイルです。煉瓦を積み重ねた家々の街並み、皮のソファに、脚のアイアンがむき出しのテーブルや椅子…それらに胸を躍らされたことを思い出します。
これまで、住宅の主導権は、奥さん側にありましたので、どちらかというと可愛い系がもてはやされていましたが、最近は、旦那さんの意見も取り入れて、可愛いからカッコいい系に移行してきているようです。どちらかというと武骨で男性的な感じと、スタイリッシュな面を持つブルックリンスタイルがカフェスタイルとして人気が出てきて取り入れられるようになってきたようです。
もちろん、新築のオーダーも承っていますが、工務店と違ってリノベーションを得意としています。お客様の予算に合わせてどれだけイメージに近づけるかが自分の最大の武器です。住宅は、その街並みに溶け込むことも重要で、新しさではなく、昔からあるものはさらに昔からあるように、さりげなくビンテージ感を出す「違和感のない違和感」を追求しています。特にモルタル造形を得意としており、雑貨やインテリアなども手作りすることで生み出せると思っています。
[画像] ──機能性とスタイル スタイル重視といっても、機能性は最低限保たれています。土地や風土に合わせた材料や塗装などを選ぶので耐久などに問題はありません。
欧米の人は、非常にモノを大事にします。それは、家でも同じで、建て替えをしません。ブルックリンスタイルを求めた人は、そのままを大事に維持する傾向にあるようです。そのため、お洒落だけを追求して、機能が不十分であるのは不親切だと考えています。
外装、内装だけでなくインテリアもこだわる場合は、既存のドアを鉄ドア風にアレンジしたり、配管や柱をあえて内装に溶け込ませる仕掛けや、塗装を繰り返すことで、重さを演出したりすることも可能です。ブルックリンスタイルにみられる木と鉄はとても相性がいいので、手作りの家具を作るのもいいかもしれません。
また、床材の張替は厚さ6oと決まっているのですが、既製品ではデザインが選べないという欠点があります。そこで、その厚さのコンパネ材を加工し、手づくりするという手段もできるわけです。
正直、好き嫌いがハッキリするスタイルです。カッコいいという人と汚いとみる人もいます。よって急激に人気が出たというよりは、このスタイルを取り入れる人が増えてきたと言うほうが正しいでしょう。住宅スタイルの流行はやはり変わっていきますので、人気が続いていくとは言い切れません。ただ、ニューヨークのブルックリンという地方にこのスタイルが息づいているように、なくなったりするものではないでしょう。
お洒落&ビンテージ感が男前を演出できる暮らしにあこがれてしまうほど、質感豊かで落ち着いた佇まいは魅力的に感じます。カフェで落ち着いていられるのも居心地のよさの表れなのかもしれません。
より自分らしさを、上質なスタイルの中での暮らしを、など求める方はぜひ検討の参考としてください。