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「年の残り」著:丸谷才一 文藝春秋

69歳の病院長が最近しきりに思うのは、遠い若き日々と自らの老い、そして死んでしまった友人知人たち。患者の少年を診るにつけ、その昔縁談のあった少年の美貌の伯母を思い出す。死が淡く濃く支配する、人生の年輪が刻み込んだ不可知の世界を、丸谷才一ならではの巧緻きわまりない小説作法と仄かなユーモアで描き出す、第59回芥川賞受賞作の表題作。他に、「川のない街で」「男ざかり」「思想と無思想の間」の佳作三篇を収録。いずれも小説の醍醐味を味わえる、珠玉の短篇集。

丸谷才一(まるや さいいち、男性、1925年8月27日 - )

山形県鶴岡市出身
東京大学文学部英文学科卒業

現代日本を代表する小説家、文芸評論家の一人。代表作に『裏声で歌へ君が代』など。

* 1968年『年の残り』(ISBN:4167138018)で第59回芥川賞
* 1972年『たつた一人の反乱』(ISBN:4061975587)で谷崎潤一郎賞
* 1974年『後鳥羽院』で読売文学賞
* 1985年『忠臣蔵とは何か』(ISBN:406196013X)で野間文芸賞
* 1988年『樹影譚』(ISBN:4167138093)で川端康成文学賞