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老師
少し堅くなった雪原を眺めて 車を止めてみた
寒いが晴れ間から差し込む日が それをやわらげてくれる
ふと気づくと 道のはるか向こうから 異様な遅い速度で
後方から 歩いて近づいてくる人影が目に入った
ゆっくりゆっくりと近づいてきた
手には細い杖を持っていた
どうしてそれほど遅いのかと思ったら 曲がった腰を伸ばしながら
止まっては歩き また止まっては歩き を繰り返しながらだったからだ
そして車の脇を通り過ぎ そこでまた止まって また歩き出していった
不思議に気になって見てると 彼は
50歩ほど歩くと 徐々に頭が前のめりになっていって腰の高さまで
下がってしまうと 30秒ほどひざに肘をついて休むか しゃがみ込んで休んだ
驚いたことに その道の先の交差点まで行くと 戻ってきたのだった
そうおそらく彼は リハビリというか運動をしているのだろう
50歩ほど歩いて 腰が90度近く曲がってしまうと 疲れるため
休憩を取って また歩くのだろう
何と歩くということが これほど重い運動になるんだろうか
自分もいずれは 訪れるだろうそのときに 彼のように
歯を食いしばって あんなに出来るんだろうか
そう思ったら なぜか ジンときてしまった
また彼は 私の横を通り過ぎたとき ちらっとこちらを見た
彼に尊敬をこめて 笑顔で返してやった
いつまでも お元気で
2006.01.18:
K.Y
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