第5回 「愛と義のまち米沢エッセイコンテスト」受賞者発表!【受賞作品のご紹介】

  • 第5回 「愛と義のまち米沢エッセイコンテスト」受賞者発表!【受賞作品のご紹介】

第5回 「愛と義のまち米沢 エッセイコンテスト」の入賞作品が決定しました!
今回のご応募数は総勢262人!! 北は北海道から南は九州まで、全国各地から
心温まる素敵なエピソードをお送りいただきありがとうございました。
次回もエッセイコンテストを開催する予定ですので、みなさまからのご応募お待ちしております。
 

金 賞  「扉をひらいて」  埼玉県  齋藤典子さん

 浦和駅東口へ続くバス通りから脇に一本逸れた道に、内科小児科のN医院はあった。父の代からお世話になっていたホームドクターだ。30年以上前の初夏のある日、25歳の新米ママだった私は、熱を出した3ヶ月の長男を連れて行った。
 N医院はこぢんまりした造りで、待合室には私と息子だけだった。すると、玄関の引き戸がガラガラッと開いて、私より一回りほど歳上の女性の顔が見えた。しかし、女性は玄関を開けっ放しにしたまま去ってしまい、私は戸惑った。閉めた方がよいか、と思い始めた時、女性は戻って来た。腕に6歳位の大きさの女の子を抱えて。女の子の頭や手足は拉げた箇所があり、本当は幾つなのか、6歳より幼いのか中学生位なのか見当がつかなかった。ただ、重い障がいがあり寝たきりで、先に医院の玄関を開けておかなければ、入って来ることが難しかったのは容易に知れた。お母さんは娘さんを長椅子に横たえさせて、ふうーっと大きく息をついたが、辛そうな素振りはなかった。優しく娘さんの髪を撫でていた。
 息子の名前が呼ばれた。抱いて診察室に入ろうと立ち上がった時だ。そのお母さんがサッと立って、診察室のドアを開けてくれた。まるで自動ドアのように。「ありがとうございます」頭を下げた私にも、まるくて爽やかな笑顔を向けて。
 あのお母さんは、どれだけ、扉を開けて欲しいと願って生きてきたことだろう。
 私は息子の3年後に長女を出産した。小さく生まれ自閉の障がいがあった。また別の意味合いで、扉を開けておかなければならないこと、開けて欲しいことが沢山あった。
 両親もこの世を去った。時間外でも嫌な顔をせず診て下さったN先生も亡くなられてから久しい。医院の前を通ることも滅多になくなった。それでも、あの日のあのお母さんの親切は、日に日に重みを増して、一つの教えとして私の中に残っている。


銀賞、銅賞受賞作品は下記の8作品です。

銀 賞 
「五円」                香川県 太田貴子さん
「この街に支えてもらいながら」  山形県 島倉真澄さん  
「言葉を越えた出会い」             神奈川県 中島彰さん

 

銅 賞   
「若草色の優しさ」                 埼玉県 上森美紀さん
「島根の光」                          埼玉県 邱力萍さん
「米沢、その人情」                 山形県 西川良文さん
「地域の絆」                          埼玉県 武井祐子さん
「彼らがくれたもの」               千葉県 高橋良宗さん

 

「第5回愛と義のまち米沢エッセイコンテスト」全受賞作品はこちらからご覧ください。

過去の入賞作品はこちら

2016.04.08:米沢市観光課:[お知らせ]