「延年の舞」奉納【高畠町】安久津八幡神社 秋季例大祭
9月15日(日)に高畠町安久津八幡神社にて秋の例大祭が行われました。 小学生の男子児童による「延年の舞」が奉納され、次に鏑流馬(やぶさめ)が奉納されました。 安久津八幡神社では、5月3日は春の例大祭として小学生の女子児童による「倭舞・田植舞」が舞われ、9月15日は秋の例大祭として小学生の男子児童(稚児)による「延年の舞」が舞われています。 「延年の舞」は、平安時代終わり頃より、法会・法要などに舞われたものだと伝わる舞楽です。 神社へ奉納するための舞であり、豊作、天下泰平、国家安全、参会者の長寿の祝いなど祈願した舞で、県指定の無形民俗文化財となっています。 舞楽は、振鉾式(燕舞式)、拝舞、三躰舞、太平楽、眺望楽、蛇取舞、姥舞の7曲が伝わっています。 振鉾式と姥舞の2曲が舞師が舞い、他の5曲は男児が舞うため、別名稚児舞とも呼ばれています。 例大祭の模様と、古式を留めた舞をご紹介します。 ◆ 安久津八幡神社例大祭斎行 参進 例大祭の始まりの合図の花火が打ち鳴らされ、 本殿に向かう稚児と参会者ら。 舞楽殿に到着。 お祓い、ご祈祷を行います。 「延年の舞」、「鏑流馬」の前に、 本殿にて神事を行います。 神事の後は「延年の舞」奉納のため、 いよいよ舞楽殿へ移動します。 ◆ 延年の舞 「延年の舞」の唱歌 安久津八幡神社の参道にある宝形造茅葺の舞楽殿で奉納されます。 今年は新たな稚児を迎え、全員が初参加の舞となります。 「延年の舞」稚児が舞う各演目は、出舞人の唱歌につれて舞います。 演目ごとに唱歌が違い、どの演目も独特で素敵な唱歌でした。 ◆演目順 ※小学生による舞は赤印 ①振鉾式(えんぶしき) ・・・・・ 大人1人舞。2本の鉾を持つ。 ②三躰舞(さんたいまい) ・・・・・ 稚児3人舞。 ③拝舞(おがみまい) ・・・・・ 稚児1人舞。扇を持つ。 ④太平楽(太平楽) ・・・・・ 稚児2人舞。太刀を用いる。 ⑤眺望楽(ちょうぼうらく) ・・・・・ 稚児2人舞。 ⑥蛇取舞(へびとりまい) ・・・・・ 稚児1人舞。蛇をあらわす輪を置く。 ⑦姥舞(うばまい) ・・・・・ 大人1人舞。老女の面をつけて舞う。 ①振鉾式(えんぶしき) 大人1人による舞。2本の鉾を持ちます。 式のはじまりに舞人とよばれる大人が舞います。 ②三躰舞(さんたいまい) 男の子3人による舞。 あいにくの雨模様でしたが、舞楽殿前には沢山の観客やカメラマンで賑わっていました。 ③拝舞(おがみまい) 男の子1人による舞です。扇を持ち、合掌して拝むような姿勢で舞います。 ④太平楽(たいへいらく) 男の子2人による舞です。 白い装束で天冠はつけずに、はちまきを締め、太刀を用いて舞います。 ⑤眺望楽(ちょうぼうらく)」 男の子2人による舞です。 太平楽と続けての舞となるため、衣装も同じで似ています。 ⑥蛇取舞(へびとりまい)」 男の子1人による舞です。 蛇を捕って、食すまでの流れを表している舞だそうです。 舞楽殿の中央に蛇のかたちをした布を置き、その周辺を舞います。 舞の前半に蛇退治を表現し、後半に退治した喜びを表現しています。 稚児舞の中では最も難しい舞だそうです。 小学校6年生の男の子が舞いました。 ⑦姥舞(うばまい) 「延年の舞」のクライマックス、最後を締めくくる演目は、姥舞です。 奥州平泉毛越寺(岩手県)の「老女の舞」と同系のもので、稀にみる秘曲とされています。 昔の人は、姥の面の向く方向で、その年は豊作か不作か判断したそうです。 続いて鏑流馬が行われました。 ◆ 鏑流馬(やぶさめ) 延年の舞が終わると、舞楽殿の横にある馬場で流鏑馬が奉納されます。 全部で一二的あり、一年十二ヵ月を表しているそうです。 昨年は閏年のため一三的あったそうです。 矢は当日朝に神社敷地内で取れた竹を手作りしたものといいます。 百発百中。 無事一二的射抜かれた的と矢は、縁起物として矢と的を1セットで販売されます。すぐ売り切れでした。 取材の事前調べで、矢のことは知っていたので、念願叶って購入できました。 馬は、毎年同じ馬で、粟島からフェリーで運ばれてきたそうです。 雨の中、躍動感ある鏑流馬は見応えがありました。 毎年華やかな衣装で行っているそうですが、悪天候の為、今年は軽装となっています。 安久津八幡神社の本殿には、鏑流馬とみられる画もありました。 延年舞は平安末期から鎌倉、室町時代にかけて行われた寺院芸能の一種でありますが、安久津八幡神社の延年の舞は、かつて盛大に行われた同社に関わる延年の姿をしのばせるもので、芸能の変遷の過程、地域的特色を示すものとして重要であるとされています。 平安時代から約1000年毎年受け継がれてきた「延年の舞」。 現在も日本全国で延年が行われている寺社・地域は約8ヶ所ほどで、安久津の地に伝わっていることは素晴らしいことだと思います。 今年は、高畠町の催しで「延年の舞」を観れる機会があるそうですので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。 置賜文化フォーラム編集員の文化リスがお送りしました。 ○取材日 平成25年9月15日(日) 詳細:安久津八幡神社 秋季例大祭 会場:安久津八幡神社 時間:午前10時~ ○取材協力 安久津八幡神社(宮司:一戸芳樹さん) 安久津八幡神社文化財保存会 ○関連記事 昨年度(平成24年)安久津八幡神社 秋季例大祭
2013.09.19